ちなみに、年齢とは別に「営業経験年数」は相関係数が0.22です。営業経験を重ねればスキルは上がるということです。これは直感とも一致するかもしれません。

 一方で、相関が最も高いのは「よいアイデアの発見(相関係数0.36)」「チーム内のライバル意識(相関係数0.36)」「会社から期待する人物として名指しされた経験(相関係数0.36)」でした。

図表:「ダメ出し指導」は最も効果が低い同書より転載 拡大画像表示

「ダメ出し型」の指導が
営業スキルを向上させないワケ

 さて、最も注目すべきは、「できていないことに気づかせる」「結果のプレッシャーをかけて指摘する」といった指導手法は、「営業スキルの高さ」との相関がかなり低いという事実です。

 どのぐらいかというと、「できていないことに気づかせる」の相関係数は0.09、「結果を出すようプレッシャーをかけて指摘する」の相関係数は0.10です。

 もちろん、「上司から厳しくダメ出しされて育った」という営業は一定割合いるでしょう。しかし一方で、「上司から厳しくダメ出しされたが育たなかった」という営業も同様に多いのです。「厳しくダメ出しをされた経験と営業スキルが高いかどうかは、ほとんど関係しない」ということです。

 つまり、できていないことに気づかせたり、厳しいプレッシャーをかけたりすることによって、メンバーのスキルが上がることを期待するのは無理があるということです。より残酷な言い方をすれば、ダメ出し型の指導をいくら積み重ねても、効果が薄いことを延々と繰り返しているにすぎないのです。

 なぜ、これほどまでにダメ出し指導は効かないのでしょうか。その理由は、「クローン幻想」(編集部注/成功パターンをただコピーすれば成果が出ると思い込む錯覚のこと)と深く結びついています。