雑談が苦手な人ほど
考えすぎている

 雑談が苦手な人に共通しているのは、口が動く前に、頭が動きすぎてしまうことです。

「こんなことを聞いたら失礼かな」

「ちゃんと話に乗ってくれるかな」

「変に思われないかな」

 そうやって考えているうちに、タイミングを逃してしまう。

 一方で、コミュニケーションが上手な人は、思ったよりもずっと軽やかに声をかけています。だから会話が弾み、人と打ち解けるのも早いのです。

 雑談に必要なのは、熟考ではありません。

 むしろ必要なのは、瞬発力です。

 思いついたことを、ネガティブにならない範囲で口にする。

 基本は、それだけです。

 もちろん、相手を傷つける可能性があること、暗い話題、自慢話につながることは避けたほうがいいでしょう。

 反対に、それさえ気をつければ、目に映ったものを素直に言葉にして、不快にさせることはほとんどありません。

 例えば、

「このたい焼き屋さんって、前は何のお店でしたっけ?」

「この時期は、やっぱりお忙しいですか?」

「ここのビル、新しくなりましたよね」

 こういう会話に、深い意味なんてなくていいのです。

 意味のないやり取りのなかで、人は相手を知り、共感し、好感を抱いていくのですから。

「要件だけ」では
人間関係は育たない

 雑談が苦手な人のなかには、

「雑談は無駄だ」

「メールも会話も、要件だけでいい」

 と考える人もいるかもしれません。

 でも、私はそれは違うと思っています。

 特に営業や対人の仕事では、いきなり本題に入る人は、たいてい相手に身構えられます。

 要件だけを伝えて、終わったらすぐ去っていく。

 それでは、仕事は成立しても、人としてのつながりは生まれません。

 少し厳しい言い方をすれば、要件だけを運ぶ人は、どこか宅配便のようです。正確で、早くて、機能的――でも、それ以上の関係にはなりにくい。

「意味のない会話」を一緒に過ごすことには、意味があります。

 それは、相手を一人の人間として尊重しているというメッセージになるからです。

 雑談をしてから本題に入る。

 それだけで、場の空気はやわらぎ、距離はぐっと縮まります。