ちょっとだけ「厚かましく」
なってみる
先ほどのお坊さんの話に戻りましょう。
そもそも、「階段の下までお荷物をお持ちしましょうか?」と声をかけない人もいます。
「RIMOWA、いいですね」と言わない人もいます。
声をかけなくても、仕事は完了するからです。
でも、あのひと言があったからこそ、会話が生まれ、ご縁がつながる。
引っ込み思案な人、遠慮しがちな人ほど、私は勇気を持ってひと言を添えてほしいと思います。
「こんなことを言っていいのかな」
「余計なお世話かもしれないな」
そのくらいで、実はちょうどいいのです。
私が営業セミナーでよくお伝えしてきた言葉があります。
それは、
「ちょっとだけ厚かましくなってください」
というものです。
嫌われたくない。
迷惑をかけたくない。
出しゃばっていると思われたくない。
そう思う人は、少し厚かましいくらいで、ようやくバランスが取れます。
自分がいいと思ったことを伝える。
相手に関心を持ったら、声をかける。
そのひと言だけで、その場の空気は変わります。
もしかしたら、大事な出会いは、そんな何気ないひと言から始まるのかもしれません。
あなたが思っている以上に、世界はそのひと声で変わるのです。
仕事ができる人ほど
「最初の5分」を丁寧に使う
仕事ができる人ほど、最初の5分を雑に扱いません。
本題に入るまでの「つなぎ」ではなく、相手との関係をつくる時間として丁寧に使っています。
「今ここ」にあるものを素直に言葉にする。
相手が答えやすい問いかけを選ぶ。
必要なら、自分の経験も少しだけ添える。
遠慮しすぎず、半歩だけ踏み込んでみる。
こうした小さな積み重ねが、相手の心をじわじわと開いていきます。
AIやデジタルツールがどれだけ進化しても、
「この人と話すと、なんだか安心する」
「この人なら、もう少し話してみたい」
そんな感覚を生み出せるのは、やはり人です。
この連載を通して私がお伝えしてきたのも、スキルより先に、人との関係をていねいに育てることの大切さでした。
どんな場面でも、根底にあるのは一つです。
相手のことを本当に思えているか。
最初の5分で、何を話すか。
雑談に、特別な準備はいりません。
意味も、オチも、結論もなくていい。
ただ、目の前の相手に関心を持ち、「いまここ」にあることを、素直に口にしてみる。
それだけで、仕事はきっと、もっと楽しくなります。







