介護保険の強み生かす「エコシステム」の中身とは?

長期間にわたり経営の足かせとなってきた「逆ざや」を解消した朝日生命保険。海外生保のM&Aに加え、介護・認知症のサービスを提供するプレーヤーと連携し合う「介護認知症エコシステム」の構築など「新たなステージ」突入への姿勢を鮮明にしている。連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、石島健一郎社長に新局面突入後の戦略や営業職員改革の進捗、今後の展望を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 藤田章夫、ダイヤモンド編集部 高野 豪)

介護保険加入率が伸び悩む理由
「お金だけもらっても」が根底に

――「介護認知症エコシステム」を立ち上げましたが、どのような問題意識があったのでしょうか。

 2012年に介護保険「あんしん介護」を発売し、それ以降認知症保険をはじめ商品改定を続けてきました。当時の介護保険の世帯加入率は15%でしたが、現在でも20%程度で推移しています。相当がんばってお客さまに提供してきたつもりですが、マーケットがなかなか広がり切りません。

 あくまで仮説ですが、介護が必要になったときに、「お金だけもらっても仕方がない」といった意識があるからではないでしょうか。というのも、いくら商品スペックを上げて要介護認定の基準を緩和しても、認知症になった本人がお金を受け取ってどうするのか、という問題が残ります。実は、私自身もかねてこの点が気になっていました。

 そこで、われわれが給付金を支払い、その先にあるサービスまで提供することで、初めて保険に入った意味が出てくるのではないか。とはいえ、われわれが介護施設を直接経営できませんので、信頼できるパートナーとタッグを組み、 サービスネットワークを築こうと考えました。これを「エコシステム」と呼んでいます。

 つまり、朝日生命保険の介護保険に入っておけば、「介護状態や認知症になっても安心だ」と思ってもらうには、給付の先まで用意する必要があるのではないか。これが私の問題意識です。

介護認知症エコシステムについて、石島社長は「これでお金を稼ぐためのものではない」と言い切る。次ページでは、石島氏が挙げた「キラーコンテンツ」に加え、契約時に約束した利回りが運用利回りを下回る「逆ざや」の解消や海外生命保険会社のM&A(企業の合併・買収)など、新たな局面に突入した朝日生命の今後の展望について深掘りする。