ダイヤモンド保険ラボ

日本損害保険協会による「代理店自己点検」の本格実施を控え、損保会社と代理店の双方は、これまでにない実効性あるガバナンスの構築を迫られている。一連の不祥事で露呈した業界共通のガバナンス不全に対し、もはや言い訳は通用しない。連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿では、単なる「形式確認」にとどまらない運営実態の把握と、不適格な代理店を厳格に切り離す「峻別の覚悟」の必要性について考察していく。(元金融庁監督局特別検査官 成島康宏)

損保代理店の「自己点検」が本格化
業界全体の構造転換を促す試金石

 日本損害保険協会による「代理店自己点検」の本格実施を控え、損保会社と保険代理店の双方に、これまで以上に実効性あるガバナンスの構築が求められている。

 近年、損保業界を揺るがした一連の不祥事や行政処分は一部の事業者にとどまらず、保険代理店業界全体に共通する構造的なガバナンス不全を露呈させる結果となった。これまでは、営業成績や規模の拡大が最優先され、コンプライアンスや内部管理体制の構築が後回しにされがちだった側面は否定できない。

 しかし、相次ぐ不祥事によって社会や規制当局から向けられる目は、かつてないほど厳しくなっている。もはや「知らなかった」「人手が足りなかった」という言い訳は、今後一切通用しないという局面を迎えている。

 こうした背景から導入された自己点検の本格化は、単なる一過性のものや形だけの事務チェック作業ではない。損保会社にとっては、これまで形骸化しがちだった「委託先管理の厳格化」を、そして代理店にとっては「経営改革」を根底から迫る、いわば業界全体の構造転換を促す試金石といえる。

 損保会社と代理店の双方が、今どのような覚悟を持ってこの変革に向き合うべきなのか。次ページでは、自己点検の本来の目的と、業界の信頼回復に向けた具体的な課題について六つの観点から深掘りしていく。