保険大激変 損保の構造的課題が生保にも飛び火!#9Photo by Yoshihisa Wada

朝日生命保険の子会社として誕生したなないろ生命保険。その初代社長を務めた石島健一郎氏が、2024年4月に親会社の朝日生命の社長に就任した。また、石島氏の後を継いでなないろ生命の社長に就任したのが、諸橋武氏だ。特集『保険大激変』の#9では、その両名に新社長としての意気込みを聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部編集委員 藤田章夫)

営業職員チャネルという柱があるからこそ
乗り合い代理店チャネルが成り立つ

――石島社長は、乗り合い代理店チャネル向けの生命保険子会社として設立されたなないろ生命保険の社長から、親会社の朝日生命保険の社長に就任しました。代理店ビジネスの生保から伝統的な営業職員チャネルの生保のトップに転じたわけですが、営業職員についてどのように受け止めていますか。

石島健一郎(以下、石島) 支社を訪問するたびに同じことを言い続けています。朝日生命のお客さまが期待しているのは、何か起こったらすぐに駆け付けて、きちんと手続きしてくれるという安心感だということです。正直なところ、商品スペックだけでいえば他にいいものがあります。言い換えれば、スペックだけではない付加価値があるからこそ、当社の営業職員を経由してご契約いただいているわけです。

 このことは、代理店チャネルを経験しているからこそ実感できるものです。営業職員というトラディショナルな柱があるからこそ、代理店チャネルが成り立っています。そうした営業職員チャネルの原点に立ち返れば、まだまだやりようはあります。朝日生命の社長に就任してから、そうした理念を伝えてきました。少しは会社が変わろうとしていることを理解してもらえてきたかな、と感じています。

諸橋武(以下、諸橋) 思った以上に、会社が変わろうとしていることを役職員は感じていると思います。毎月のように社長メッセージが全社に向けて配信されますが、アクセス数が多いんですよ。約4000人が見ることができますが、多いときは3500人ほどがアクセスしています。通常は半分くらいですので、注目度が高いですね。

――経営目標についてはいかがでしょうか。

石島 今年度から始まった中期経営計画は就任前に出来上がっていましたので、目指す方向は変わりません。ただ、目標に到達するためのアクションプランは変わっていきます。これまでは理念を伝えてきましたが、来年度からは具体的な施策に落とし込んでいこうと準備しているところです。

――来年度以降の方向性について教えてください。

なないろ生命の社長から朝日生命社長に転じた石島氏は、伝統的な営業職員チャネルをどのように変えようとしているのか。また、好業績が続くなないろ生命の2代目社長に就任した諸橋氏は、どのような戦略を打ち出そうとしているのか。次ペーでは、両名に経営方針を明かしてもらった。