Photo:PIXTA
新たな健全性規制の導入が迫る保険業界。新規制に対応するため、昨今の生命保険会社では超長期国債を買い増してきた経緯がある。ただ、これで終わりではなく、今後も商品販売や経営行動に影響をもたらす可能性が高い。特集『総予測2026』の本稿では、新規制がもたらす影響に加え、各社が公表した数字をどう読み解くべきかを解説する。(ダイヤモンド編集部 高野 豪)
新たな健全性規制に移行
超長期債購入の動機に
2026年3月期決算から適用される新たな健全性規制が、生命保険会社の経営行動に変容をもたらしている。
新たな規制は、「経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)」と呼ばれるもの。資産と負債を時価評価した上で、支払い余力を示す「適格資本」を分子に、各リスク量を合算した「所要資本」を分母として算出。1996年3月期から適用され、資産のみを時価評価するソルベンシー・マージン比率(SMR)に代わるものだ。
金融庁は、国際資本基準(ICS)の仕様と基本的に同じ「標準モデル」を使い、保険会社を監督する。銀行などに課す自己資本比率規制(バーゼル規制)と同様に、一定水準を下回ると「早期是正措置」が発動し、ESRが100%を下回ると監督対象となる。さらに35%を下回れば期限付きの業務停止処分となり、3カ月以内に35%以上に回復させることが求められる。従来よりも厳しい運用となっているのだ。
生保のバランスシートは、負債の大半を保険金支払いのために積む責任準備金が占め、資産側では負債の金利変動リスクを相殺するため、国債など長期の責任準備金対応債券を保有する。
もっとも、負債側の保険の契約期間は超長期に及ぶため、資産側の債券よりもデュレーション(元本の平均回収期間)が長く、金利変動による影響が大きくなる。
つまり、資産側のデュレーションを長期化し、負債側と近づけなければESRは金利変動で大きく振れるのだ。生保各社が新規制導入を前に、超長期国債を買い増していた理由の一つにはこうした事情もある。
次ページでは、ESR導入が生保の行動に及ぼす影響を解説するとともに、新たな数値をどのように活用すべきかのポイントを解説する。







