韓国の株式市場が熱狂の渦
恐ろしい群集心理の実態

 6月中旬まで、世界の主要株式市場は安定的に上昇した。カネ余りやAIの成長期待を支えに、買うから上がる、上がるから買うという強気心理は膨張した。6月12日、スペースXが上昇すると、AIデータセンターの増加から推論モデル開発は加速し、業績は急拡大するとの楽観も増えた。

 それに伴い、米国では新しいキーワードが現れた。GAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)に替わり、「MANGOS」(メタ、アンソロピック、エヌビディア、グーグル、オープンAI、スペースX)が経済をけん引するとの期待が高まった。

 投資家は高い成長を期待し、お金を借りてでも投資を行うケースが増えている。特に、韓国では個人のレバレッジ投資熱が急上昇した。

 韓国では、一部の財閥系企業に勤める人と、それ以外の人の経済格差が拡大し、深刻だといわれている。今年、広帯域メモリー(HBM)世界トップのSKハイニックスは、従業員に基本給の2964%に上る成果給(ボーナス)を出した。サムスン電子では、それ以上のボーナスを求めストライキが起きそうになった。ちなみに両社の社員は婚活市場でトップ評価だという。

 サムスン電子やSKハイニックスの株を買い、利益を増やそうとする投資家は急増。半導体関連の銘柄主導でKOSPIは急騰し、「何を買ってももうかる」などと妄信する人、お金を借りて株に投資する人が増えた。

 今年5月、韓国政府はレバレッジ型ETFに関する規制を緩和した。目的は、香港に上場した、韓国の半導体企業の2倍程度の値動きのETFへ資金が流出するのを防ぐことだとみられる。ウォン安の食い止めにも必要だったのだろう。

 政府の規制緩和により、韓国でもサムスン電子、SKハイニックス株価に2倍で追従する2つのETFが上場した。一獲千金を狙う個人投資家は、レバレッジ型のETFを売買した。時価総額は、5月末の約4900億円から6月中旬に約1.5兆円へと急増した。保有者の約9割が、中間層の個人投資家といわれている。

 自分の周りの人がレバレッジ型ETFを買うから、自分も買う。買えるだけ買う。群集心理は盛り上がり、相場は熱狂。個人投資家主導でKOSPIが過去最高値を更新したというわけだ。