ただ、この過程では、さまざまな問題が湧き上がった。最終的に、渋谷区は行政代執行を行い、警察権力を導入してホームレスと支援団体を排除した。ここまでのことは、拙著『新しい広場をつくる』にも詳しく書いた。しかし、問題はここにとどまらなかった。
渋谷区と支援団体の争いは、やがて法廷にまで持ち込まれることとなり、支援団体側は一部勝訴を勝ち取っている。
企業イメージを大切にしたナイキは結局ネーミングライツを直接的には行使せず、さらに2017年、新しい公園整備計画が発表される中、その権利そのものを中途解約した。
いま宮下公園は「MIYASHITA PARK」と名前を変え大きく変貌を遂げた。ここにはもはや広場のイメージはない。もともとが細長い形状をした通路のような公園だったものをさらに細分化したために、有料ゾーンや店舗以外の「居場所」は限られている。
開園時間も決められており年末年始は休園となる。夏はヒートアイランド現象も相まって、極度の高温になるようだ。これははたして、「公」園なのか。
渋谷駅前の終わらない工事で
なにが便利になるのか?
渋谷駅周辺はいまも大きく変わりつつある。「ガウディか?」とツッコミを入れたくなるほどに、終わりの見えない工事が延々と続いてきた。100年に一度の再開発と呼ばれ、当初は2027年度完成となっていたが、いまだ全貌は見えてこない。
私は月に2回前後、上京する機会があり、土地鑑があるので渋谷の近辺に宿を取る。そして渋谷に行くたびに、通るたびに、「これはかえって不便になっているのではないか?」と感じる。
確かに以前から渋谷駅は迷宮と呼ばれてきた。しかし個人的な事情で言えば、地元の人間はそんなことは承知の上で、目をつぶっても乗り換えはできたのだ。現在の渋谷の再開発は、おそらくこの迷宮からの脱却を目指し、動線をきれいに整理整頓し、通路を広げて空間に余裕を持たせる方向なのだろうと思う。







