総予測2025#83Photo by Yoshihisa Wada

鉄道の利用者が激減したコロナ禍からの回復期を抜け、東急は「コングロマリットプレミアム」の実現に向けて動き出した。本拠地・渋谷を中心に、2025年はどのような施策に取り組むのか。特集『総予測2025』の本稿では、堀江正博社長がグループの成長戦略を語った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 田中唯翔)

大井町、目黒、池上の各路線
再開発で木造住宅密集を解消する

――直近の決算は増収増益でした。結果をどう受け止めていますか。

 総括すると、全てのセグメントでよく頑張ってくれた。電車やバスの利用者数は、景気一致性があります。リテール、ホテル事業も同様です。運賃や不動産賃料など、景気に遅行する部分もありますが、景気と金利の回復の中で、トップラインが上がってきています。

――さらなる収益性向上に向けた沿線開発の予定は?

 中期経営計画では明示していませんが、木造住宅密集地域(木密地域)の解消がテーマだと思っています。木密地域は大井町線、目黒線、池上線沿線周辺に700ヘクタールほどあります。ここが沿線の再開発用地だと考えています。

――一方で生活サービス事業の売り上げが、コロナ前と比べて回復していません。

リテールなどの生活サービス事業の利益率は、鉄道や不動産事業に比べて大きく劣る。しかし堀江社長は、生活サービス事業に他事業にはない強みを見いだしている。次ページでは、その強みの正体とともに、グループの戦略を語る。