ぜんち共済社長に聞く、東京海上日動と組んで叶った「障がい者向け保険」の夢

東京海上日動と組んで
障がい者向け保険を開発

――ぜんち共済は2018年から東京海上日動火災保険と組んでいます。少短業者と損害保険会社はもともとビジネス上のつながりがあり近い存在でしたが、商品を共同で開発することはあまり例がありません。

 弊社のお客さまである知的障がいや発達障がいのある人と、そのご家族にとっての不安は、個人賠償の補償額でした。少短の規制では、損害保険商品における保険金の上限額は1000万円に設定されています。障がいのある人のご家族からは、「補償額はこれで足りるの? もし、電車を止めてしまったら……」という不安の声が上がっていました。

 そこで、株主のあいおいニッセイ同和損害保険に相談し、後に東京海上日動に相談しました。結果的に、弊社の「ぜんちのあんしん保険」に上乗せする形で、個人賠償責任保険については東京海上日動が引き受ける形で商品を提供できるようになりました。当社は東京海上日動の代理店という立ち位置になります。

ぜんち共済榎本重秋社長えのもと・しげあき/1965年生まれ。89年AIU保険入社。同社上野支店勤務時に知的障害者補償制度の担当になる。2000年チューリッヒ保険に転職。そのときに知的障害者親の会からの要請を受け、「全国知的障害者共済会」の設立に携わる。06年ぜんち共済設立。08年少額短期保険登録。10年日本少額短期保険協会会長。14年精神障害者等雇用優良企業認証事業委員。17年中小企業家同友会全国協議会 障害者問題委員会副委員長、2019年神奈川県中小企業家同友会副代表理事等を歴任 Photo by Yoshihisa Wada

――大手損保とはもともと関係があったのでしょうか。

 あいおいとは(少短になる前の)共済時代からのお付き合いです。私たちは障がい者の施設で起こる事故にも対応しているのですが、あいおいは施設賠償責任保険の良い商品を持っていましたので、当社はあいおいの代理店になっていました。