首都圏における広域降灰対策会議の「首都圏における広域降灰対策検討会報告書」(令和7年3月)の中には富士山噴火で発生する火山灰について、衝撃的な試算が掲載されている。

富士山の宝永噴火を想定した場合の噴出量で、約17億立法メートルとされている。そのうち、鉄道、道路、建物用地及び農地など、一定の土地利用がされていると分類されている範囲に堆積した火山灰の量は約4.9億立法メートルで、これは東日本大震災の災害廃棄物の約10倍に相当する。(8ページ)

 では、東日本大震災時の災害廃棄物(4700万立法メートル)を処理するにはどれくらいかかったのか。環境省の「東日本大震災における災害廃棄物処理について(概要)」という資料によれば、それらの処分にはおよそ3年かかっている。

 もちろん、量が10倍だからといって単純に富士山の火山灰の処分に30年かかるというものではない。除灰の処理と、災害廃棄物の処理にかかる時間、マンパワーは違うからだ。

 ただ、東日本大震災の災害廃棄物だって、被災地だけではなく周辺自治体など広域協力して取り組んで3年なのだ。その10倍の火山灰を集めて処分するのには、仮置き場や最終処理場の調整にも時間がかかるので、早く見積もっても数年はかかるはずだ。

 また、これはあくまで火山灰だけの話だ。富士山噴火によって、周辺の山梨や神奈川では家屋が破壊されたりして災害廃棄物も多数出る。この処分と並行しつつ、首都圏などで「除灰」をしなくてはいけないのである。

 これは皆さんが思っている以上に深刻な事態で、日本という国のあり方を大きく変えてしまう恐れもある。

 日本は人手不足が深刻で、特に建設業はベテランがリタイアすることでドカンと職人が減る「2030年問題」のリスクも指摘されている。そんな中で富士山が噴火して、東日本大震災の災害廃棄物の10倍量を「除灰」しなくてはいけないとなれば、外国人労働者に頼るしかない。

 現在、外国人労働者は約257万人(2025年10月末時点)いて、政府はこれをどんどん拡大していこうとしているが、富士山噴火が起きたら、受け入れ上限数を引き上げて、これまで以上に大量に迎えることになるだろう。

「いや、そうならないよう、人間の代わりに火山灰をかき集めてくれるロボットを開発したり、AI技術を活用してだな……」という意見もあろうが、この件に関しては、そういう先端技術の開発をしているような時間はない。