その会社が掲げるカルチャーの一つに、「誠実さ」がありました。Bさんは成績もよく、お客様の評判も上々。それでも、こんな声が漏れ聞こえていました。

 ある有志の飲み会で、お酒が進んだBさんが、その場にいない役員や部長を批判し始めたというのです。しかも、一度きりではなく、別の会でも同じことがあったとのこと。それを聞いた部下たちは、「自分も、いないところで言われているんだろうな」と感じてしまったそうです。

 批判の全てが悪いとは思いません。けれど、本人のいない場や、レポートライン以外での発言は、ただの愚痴や悪口になってしまいます。

 悪口はチームの心理的安全性を静かに壊し、ハラスメントのリスクにもなる。経営から見れば、そういう人を役員に上げること自体が、会社のリスクになりかねません。

 何より、誠実さという掲げたカルチャーに反してしまう。カルチャーを体現できない人を、役員には選べないのです。

出世するほど
「謙虚である」ことが重要なワケ

 私が今までお会いしてきた役員の方、また役員に上がっていく方。みなさん、偉くなればなるほど、謙虚でした。

 立場が上がると態度が大きくなりそうなものですが、役員の中でも出世していく人ほど、ますます謙虚になる印象でした。

 これも受付の仕事と経営の両方を経験して、腑に落ちました。昇進するほど、その人自身が組織の「鏡」になるからです。

 役職が上がるほど、その人の機嫌や態度は周りに映り、伝わっていきます。

 上司が不機嫌なら、その空気は下に流れ、増幅して部署の空気になる。反対に、上の人が落ち着いていれば、その安定がそのままチームの安心感になる――。

 役員の振る舞いは、もはや個人の気分ではなく、成果に直結します。上司の顔色をうかがう配慮や時間は、無駄でしかありません。

 それを自覚している人だからこそ、常に謙虚である。偉くなるほど、自分は「見られる側」だと自覚している。これも、役員に上がる人にとって大切な素質です。