メンタルケアを怠る制作陣
両者の病と傷への「無配慮」
不祥事企業の危機管理対応に関わってきた立場から言わせていただくと、今回の「楽屋トラブル」を佐藤さん、橋本さんの俳優人生を狂わせるほどの大問題へと発展させてしまった致命的なミスは、主に以下の3つだ。
2.佐藤さんが橋本さんの楽屋を訪れて持論を述べるトラブルが起きた後、カウンセラーを交えた丁寧な話し合いをした形跡がうかがえない
3.弁護士を介入させないほうがいいトラブルに、弁護士を介入させてしまった
まず、1に関しては多くの人が指摘しているが、フジの人権に対する姿勢が問われる問題だ。
佐藤さんが小学生の頃に発症した強迫性障害というのは、ご本人も公言している大変有名な話だ。多くの人が悩むこの精神疾患にはまだわかっていないことも多いが、「こうしなくちゃいけない」という強迫観念で頭がいっぱいになって、その行動を何度も繰り返したり、きっちりやらないと気が済まなくなったりするということが、一般的に言われている。
自身の病気について綴ったX投稿(佐藤二朗さんXのスクリーンショット)
そんな佐藤さんと夫婦役としてキャスティングされたのが、センシティブな問題から「身体接触NG」になった橋本さんである。このような「心の問題」を抱える主演2人に余計なストレスを与えず演技をしてもらうには「ルール」を明確にしておかなくてはいけない。
つまり、夫婦役という設定上、身体接触や距離感をめぐる演技上のすり合わせは不可欠だった。しかも一方の俳優に演技上の制約があることを制作側が把握していたのであれば、相手役にどこまで共有し、どのようなルールで撮影するのかを事前に明確化する必要があった。
なので、フジテレビとしては、キャスティング時点で両者に「佐藤さんは強迫性障害なので、こういう点がありますけど大丈夫でしょうか」「橋本さんは身体接触NGなので大丈夫でしょうか」と伝えたうえで、双方に相手役の「複雑な事情」に対する理解を求めなければいけなかった。
それを怠って、撮影に踏み切っている時点で、精神疾患やトラウマを抱えながら働いている人への配慮がまったく足りていない。この時点で、今回の問題は起こるべくして起こったと言える。
フジテレビの声明によれば今回の問題は4月8日、佐藤さんが橋本さんの楽屋を一人で訪れ、「俳優活動に関する自身の考えを伝える」という行為にあるという。
文春は誌面上で、撮影中に顔を触れたのが問題だとか、佐藤さんの態度がよろしくないなどと煽っているが、そちらは橋本さん側も問題にしていないという。







