20年以上におよぶ粉飾が発覚、その手口とは

 破産の第一報を受けた金融機関では、驚きの声が相次いだ。東京商工リサーチが粉飾決算の疑いについて報じると、「まったくわからなかった」と半信半疑の様子だった。倒産は、あまりにも突然だったようだ。ある銀行員は、粉飾決算の期間や金額から「東の堀正工業、西の全東信と呼ばれるのではないか」と冷笑し、2023年に破産した20年に及ぶ粉飾決算を続けたベアリング商社の堀正工業を例にあげた。

 全東信は、金融機関に良好な財務状況を誇示するため、粉飾決算を行っていたことを明らかにした。粉飾の主な内容は、約170億円の架空預金と約154億円の架空債権、88億2000万円の無価値な営業権の過大評価、加盟店に対する未払い立替精算金約217億円の未計上で、粉飾額の合計は約630億円にものぼる。

 こうした行為は、少なくとも20年前から継続していたようで、2026年3月期の純資産額は24億8000万円のプラスから一転、実態は605億円の債務超過に陥っていた。

 2026年3月期の勘定科目内訳書をみると、預貯金額でメガバンクの普通口座に約170億円の期末残高が記載されている。だが、破産時の目録は約8億円の計上のみ。架空の現預金を積み増し、支払能力などの信用力強化を狙った可能性が高い。

 約154億円の架空債権は、クレジットカード会社向けの売掛金に混在していた可能性がある。2026年3月期末の売掛金合計は約415億円。このうち、約4割が架空債権とみられ、信用力の柱だった売掛金は水増しされ、財務力の評価を偽装した。

 88億2000万円の無価値な営業権の過大評価は、グループ会社などの承継に伴って計上したとみられる。ただ、一部の金融機関は、この営業権の計上に不信感を抱き、取引を解消したという。