全東信が2万50店の飲食店などに入金できない額は、約53億7000万円とみられる。単純計算で1社(店)あたり約27万円が回収不能の計算で、この程度なら何とかできそうな気もする。
だが、これはあくまで平均額で、店によって金額のダメージは濃淡がある。前述の飲食店オーナーは、「当店は支払いを現金、PayPay、クレジットカードから選択できる。電子決済が普及して最近はクレジットカードの取り扱いが減っており、被害は少なくて済んだ」と語る。ただ、「電子決済の枠におさまらない(値が張る)代金や、電子決済の加盟店審査に通らない業態はカード払いが多く、被害が大きいのでは」と推測する。
こうした店を中心に、一時的な売り上げ消失が運転資金に狂いを生じさせ、連鎖的に資金繰り破たんを呼び込む可能性はある。
地銀、信金信組など63行から1000億円以上の融資
全東信の売り上げは、クレジットカード決済に伴う手数料収入だ。しかし、2015年頃からバーコード、QRコードなどの電子決済が急速に普及し、決済代行の競争が激化した。加盟店の開拓や維持のため手数料の引き下げを迫られ、利益率は低下してきた。
東京商工リサーチが入手した全東信の財務諸表によると、2025年3月期の売上高は74億1824万円、最終利益は7億7100万円の黒字だった。だが、2026年3月期の売上高は47億7949万円と前期比35.5%減に急減。営業赤字に転落し、最終損失は15億5352万円を計上した。
手数料の目減りで業績低迷が長期化し、資金繰りが悪化した。この分の資金補填は銀行借り入れで手当てしてきた。債権者リストには合計63行(社)の金融機関が億単位の債権者として名を連ね、地元以外の地銀や信金、信組も目立つ。これらの金融機関からの融資額は合計1000億円以上におよぶ。一方、メガバンクは1行もない。なぜ、これほど多くの金融機関が越境してまで全東信に多額の融資を行ったのか。







