楽天カードとみずほフィナンシャルグループが資本業務提携へ向けて検討を開始した一報は、クレジットカード業界にとって久しぶりのビッグニュースとなった。具体的な提携内容は今後詰めていくことになるが、仮に両社が二人三脚で一体的に運営された場合のインパクトは強烈で、勢力図は大きく変わることになりそうだ。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
「楽天カード+みずほFG」提携
カード業界で高まる警戒感
この数年、クレジットカード業界は業界序列を一変させるような動きはなく、平穏な時代だったと言っていい。実際、キャッシュレス決済の浸透や大挙して訪れる外国人旅行者のクレジットカード利用により、大手クレジットカード会社のショッピングやキャッシングの取扱高は、軒並み右肩上がりで増加していた。
そんな中で届いた、楽天カードとみずほフィナンシャルグループ(FG)の資本業務提携へ向けた検討開始の一報は、クレジットカード業界の勢力図を塗り替え得るもので、業界関係者の目を覚させるインパクトのあるものだった。
楽天グループとみずほFGは、これまで段階的に距離を縮めてきた。22年10月に資本業務提携を結び、みずほFGはみずほ証券を通じて、楽天証券に19.99%出資。その後23年11月に49%まで保有比率を高め、協業を深めていた。
そんな経緯から、メガバンク関係者とクレジットカード業界関係者の間では、「いずれみずほFGは楽天カードを手中に収めるだろう」と見られていた。今回の一報で、その見立てが現実味を帯びてきたわけだ。
楽天グループは、資本業務提携後も楽天カード株の過半数を保有する方針だ。だが決まっているのはそれくらい。具体的な出資比率や業務提携の中身は決まっていない。
だが、すでにクレジットカード業界では楽天カードと、みずほFG傘下のクレジットカード会社であるユーシーカードとオリコの合計3社が一体となって、共通ポイントの戦略やカード獲得施策、その他の各種プロモーションを進めるのではないかと警戒感が高まっている。
そこで次ページでは、楽天カード・みずほFG陣営誕生によって激変する業界序列を、クレジットカード会員数を基に大胆予想。さらに楽天カードとみずほFGが得られるメリットなどを探った。