60歳で「収入ダウンの崖」に
落ちる!
50代になると、子どもに手がかからなくなり、自由に出かけられるようになるため、推し活や趣味に時間を使う余裕が出てくる。好きなことをしてリフレッシュするのは、明日への活力になるから悪いことではない。
ただ、FPとして気になるのは、ちゃんと老後資金が貯(た)められているかどうかだ。50代は、老後資金作りのラストスパートをかける「最後の貯(た)めどき」で、逃してはいけない。
60歳で定年を迎えても、ほとんどの人がすぐにリタイアせずに、勤務先の再雇用制度を利用して働く。ただし、多くの企業は再雇用社員の給与を大幅に下げる。
59歳時の年収が1000万円を超えていても、再雇用で年収400万円前後まで下がるケースは珍しくない。私は、定年後に年収が大きく下がることを「収入ダウンの崖」と名付けた。
収入ダウンの崖に落ちると、貯(た)める余裕などない。それどころか、支出を見直さない限り、家計は赤字に転落する。私は日頃、「60代前半はせめて収支トントンを目指し、退職金を減らさないようにしましょう」とアドバイスしている。
だからこそ、50代は老後資金作りの最後の貯(た)めどきなのだ。
「収入ダウンの崖」に落ちた
先輩たちの口は堅い
60歳で直面する「収入ダウンの崖」があることを知っていても、その崖が思いのほか深いことを知っている人は、意外なほど少ない。
その理由は二つあり、まず勤務先から再雇用後の給与を提示されるのが60歳の数カ月前と、定年直前である会社が多いこと。再雇用後の給与は一律ではなく、仕事によっても、人によっても異なる。このため会社としては、57歳や58歳など早い段階では提示しにくいのだろう。
もう一つは、すでに再雇用で「収入ダウンの崖」に落ちた先輩たちからの情報が少ないこと。何人もの人から「いつも一緒に飲んでいるのに、こんなに給料が下がるって、なんで教えてくれなかったのだろう」と愚痴をこぼされたことがある。







