EVで長距離を走るには、ICE車の感覚を一度捨てる必要がある。

 ガソリン車は満タンこそが正義である。満タンでもタンク半分でも給油時間は2分も変わらない。それだけで大きな安心感を得ることができる。次の給油所まで、心穏やかに運転することができる。
 しかしEVの急速充電は、残量が増えるにつれて充電速度が落ちていく。特に80%を超えたあたりから効率は明らかに鈍る。満充電目指して粘れば粘るほど、時間あたりに得られる走行距離は少なくなる。

 往路では、不安感から同じ充電器で30分を2回続けて入れたこともあった(無論他の待ち車両がいないことを確認して)。要するに「満タンに近づけておけば安心だろう」というガソリン車的な発想である。だがそれは、EVの長距離移動としては極めて非効率なのだ。

 その反省を踏まえ、復路では「満充電にしない勇気」を持って走ることにした。

 満充電で束の間の安心感を得るのではない。ギリギリまで粘って残量の少ない状態から効率よく充電し、80%前後で切り上げてサッサと次なる充電スポットへ向かう。

 往路でも頭では理解していたのだが、ビビリ心からそれを実践できなかった。復路では、その反省を生かそうと考えたのだ。

ナビが示した「2回充電ルート」の罠

 ところがここで別の問題が出てきた。大問題だ。

 宮崎フェル宅で、リーフのナビに東京・世田谷の自宅を目的地として入力する。すると日産自慢のナビは、実に驚くべきルートを提示してきたのだ。

 宮崎から世田谷まで、充電はわずか2回でいいと言うのである。うんうん。2回でいいのね。実に結構。最初の充電地点は山口県周南市。次が大阪府高槻市。いずれもe-Mobility Powerの急速充電器で、到着時の残量、充電後の残量、最終目的地到着時の残量まできちんと計算されている。自宅到着時の予測残量は11%。自宅近くの東京日産で、翌日の返却のために念のため充電しておくか。すごいなぁ日産。新型リーフの航続性能も、日産とGoogleが組んだ車載ナビの計算能力も、ここまで来たのかと心の底から感心した。

 しかし。だがしかし。再度画面を見て私は息を呑んだ。

 指定された2カ所の充電ポイントは、どちらも高速道路を降りた先、一般道にあるではないか。