2案は、大宮8時59分発「かがやき」で長野へ行き、長野から岡山で普通列車を利用するルート。到着は12時9分、所要時間は3時間10分で8430円、乗り換えは1回になり、料金も安くなったが、所要時間は伸びてしまい優位性がなくなった。

 3案は、大宮9時18分発の湘南新宿ラインで新宿へ行き、新宿から「あずさ」を利用するルート。乗り換えは1回、到着は12時19分、所要時間は3時間1分、6400円だ。

 首都圏から諏訪地方に行く場合、一般的には新宿駅から中央線特急「あずさ」を利用する。所要時間は北陸新幹線・特急「しなの」利用が最速の時間帯が多いが、乗車距離が長いため運賃・特急料金がかさむし、2回の乗り換えが必要だ。顧客は12時頃に到着するルートを探しているのだから、4000円近く高い選択肢を選ぶ人はいない。

 問題はまだある。4案は大宮から南浦和へ行き、武蔵野線で西国分寺へ行き、中央線で立川に出て「あずさ」に乗るルートだ。12時19分に到着し、所要時間は2時間56分、6090円だ。新宿乗り換えより所要時間が短く、安いが、こんな無駄な乗り換えをする人はいない。

 筆者はこれを「岡谷問題」と呼んでいる。みどりの窓口で係員に依頼すれば、間違いなく新宿経由の「あずさ」が提示されるが、明らかに急いでいるそぶりや、1円でも安い経路を探している様子があれば、このような選択肢もありますよと提案するだろう。AIがこのような利用者の事情や希望をくみ取り、最適な選択肢を提案できるようになった時が、発券業務における「シンギュラリティ」なのかもしれない。

 対話型AIはいつ駅に進出するのか。JR東日本は公開後の囲み取材で「技術の進捗、進歩は非常にスピードが速いので、現時点でいつというのは具体的に定めていないが、一部を代替するようなサービスは2035年頃には行っていきたい」と述べた。

 2035年というのはずいぶん悠長な話のようにも思えるが、焦って不十分なサービスを投入し、失望を招いては元の木阿弥だ。ここはしっかりとシンギュラリティを乗り越え、人間より高度なサービスが可能になるよう、着実に開発を進めてほしい。