NewJeansが持ち込んだ「新しさ」の正体

 2022年にデビューしたNewJeansには、従来の韓国ガールズグループにはない「新しさ」があった。これまでのグループが「圧倒的なパフォーマンス」を見せようとしたのに対して、NewJeansは90年代のアメリカンR&BやUKガレージなどのサウンドを取り入れ、声を張らないナチュラルな歌唱や、脱力系のダンスが中心だ。

 初めて彼女たちを見たとき、私はスニーカーにTシャツ、サスペンダーの片方を外して「ヒップダンス」を踊る『ミスター』の頃のKARA(カラ)を思い出した。当時、韓国のガールズグループは、ハイヒールを履いて脚を長く見せることがほぼ必須だった。スニーカーは脚を短く見せるが、そのぶん親しみやすさを演出する。KARAを日本で人気にしたのは、この親しみやすさから来る「カワイイ」だった。

 NewJeansのプロデューサーであるミン・ヒジン氏は日本のサブカルを熟知しており、とくに、「カワイイ」を核にあらゆるものを取り入れ無国籍化・ジェンダーレス化して境界を曖昧にする原宿ファッションのあり方を、NewJeansに取り入れたのではないか。

 また、NewJeansの脱力系のダンスは、その「カワイイ」を自分たち自身が楽しんでいるかのような印象を与える。やらされているのではなく、楽しんでいる。これは、まさに女性から見た「カワイイ」であり、同性のファンを獲得する強力な武器となった。

 だが、NewJeansの最大の「新しさ」は、それらではなく、韓国のガールズグループでありながら、「韓国的であること」から自覚的に降りてみせたことにある。従来の韓国ガールズグループが重視してきた、ハイヒールに象徴される洗練や完成度の高さを手放し、韓国的な女性性の演出を抑え、原宿のカワイイもアメリカ西海岸のストリートも取り込みながら、そのどれにも着地しない。だから、日本のものにも、韓国のものにも、アメリカのものにも見えない。

 これは言葉にすれば「無国籍化」、より正確に言えば「韓国らしさからの脱却」とも呼ぶべき戦略である。日本での人気メンバーのハニがベトナム系オーストラリア人であることも、NewJeansの無国籍性を象徴している。

 TWICEで実践されたのが「日本人メンバーの韓国化」だったのに対して、NewJeansで試みられたのは「韓国ガールズグループの無国籍化」だった。TWICEが「同化」なら、NewJeansは「韓国」という要素の引き剥がしである。

 ただ、日本では「韓国ガールズグループ」と一括りにされがちなので、その「新しさ」は見えにくかったのだろう。