中国AIと米国AIの決定的な違い、習近平が仕掛ける「価格破壊」の勝算習近平が仕掛ける中国AI「価格破壊」の勝算とは Photo:China Pool /gettyimages

中国の習近平国家主席が、「自国製AIを世界の公共財にする」と宣言した。すでに、中国発「ムーンショットAI・ショック」が世界のAIや半導体企業の株価にも大きな影響を与えている。AIは米国が先行していたが、中国企業の追い上げは想像をはるかに上回るスピードだ。米中AIの決定的な違いと、中国が世界を席巻しそうな強みとは。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

トランプが勝つか、習近平が勝つか…
米中AI激突、ビジネスモデルの決定的な違い

 AI業界では依然として、米国の主要企業が開発面で優位性を保っているといわれている。ただ、中国企業が猛烈な勢いで追い上げている。注目されるのは、開発競争に加えて、米中企業の間でビジネスモデルが大きく異なる点だ。

 背景には、米国と中国の経済制度の違いがある。トランプ大統領率いる米国は、自由主義経済の体制の下、企業が独自に業務を展開するのが基本だ。一方、中国は共産主義体制の下、習近平国家主席の号令によって、AI分野を強烈に推進している。

 現在、推論モデルの開発では、米国のアンソロピック、オープンAIなどが高性能の推論モデルを開発している。基本的に、米国のAI開発企業は、モデルの中身を公開しない「クローズド型」のAIが多い。

 その料金は上昇傾向にある。消費者向けのサブスクリプション方式の場合、これまでは月額20ドル(約3200円)が標準的だったが、来年にかけて、25~30ドル台への値上げが見込まれている。あるいはシステム開発などにAIを使う場合、従量課金制度を適用している。最新モデルが発表される都度、米国企業は料金を引き上げた。

 2026年に入って以降、アンソロピック、オープンAIとも、開発コストをカバーするために急ピッチで料金を引き上げている。ソースコードや仕様を独占的に保有・管理し、一般公開や改変、再配布を制限する「クローズド・ソース」と「高価格化」が、米AI開発企業の特徴だ。