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米国と中国の二大大国は、国家と企業が一体となり、AI(人工知能)の覇権を巡る総力戦を激化させている。AI半導体のサプライチェーン、エネルギー資源、安全保障を巡り、世界は米中の2つの陣営に分断され、対立はすでに、引き返すことができない臨界点を超えている。生成AIの爆発的な拡大によって、「計算能力」が国力を決める時代に突入。AIはもはや一産業の枠を超え、国家の競争と主権を左右する中核インフラとして、世界の産業秩序そのものを塗り替えつつある。特集『総予測2026』の本稿では、米中が主導するAI産業戦争の最前線に立つ主力プレイヤーを大きな図解で一望する。併せて、この競争における日本の劣勢を容赦無く突きつける「三つの不都合なデータ」も明らかにする。(ダイヤモンド社メディア局論説委員 浅島亮子)
AIを持つ国と持たざる国の分岐点
日本は計算能力で劣勢に
世界は今、「AI(人工知能)を保有する国家」と「AIを持たざる国家」へと二極化している。20世紀の覇権を左右したのが石油であったとすれば、21世紀を動かすのは計算能力だ。計算能力が国力を規定する時代に突入し、AIはもはや一つの成長産業ではない。世界の産業秩序そのものを塗り替える中枢インフラになりつつある。
AIを本格的に機能させるために不可欠なのが、三つの要素だ。高性能GPU(画像処理半導体)などのAIチップを核とする「半導体サプライチェーン」、膨大なデータを学習・運用する「AI基盤モデル」、そしてそれらを稼働させる「AIデータセンター」――。このAIインフラ三点セットを押さえた国家・陣営こそが、次世代の経済秩序、軍事バランス、産業支配を握ると言っても過言ではない。
この現実を背景に、米国と中国を軸としたAI覇権争いは激化の一途を辿っている。世界各国は、どれだけのGPUを確保し、どれだけの電力を投入し、どれだけの資本をAI基盤に投じられるのか――。その差が、国家の将来を左右する決定的な目安となりそうだ。
ここで浮上してきたのが、「ソブリンAI」という考え方だ。国家がデータ、計算能力、基盤モデルといったAIの中核インフラを自国の管理下に置き、主権を確保しようとする発想である。AIはテクノロジー競争であると同時に、主権や安全保障を巻き込む争いへと姿を変えた。
その競争下において、日本の立ち位置は極めて厳しい。AI活用で出遅れ、基盤モデルは海外勢に依存。世界的な争奪戦となっているGPUの確保でも苦戦を強いられている。現状では、産業競争力と経済安保の両面から見て、日本はいま、危機的な局面に立たされていると言わざるを得ない。
このまま日本は、米中が仕掛けるAI産業戦争に敗者として呑み込まれてしまうのか。それとも、なお残された勝ち筋を見いだすことができるのか。日本のAI政策を巡る動きについては、特集『AI産業戦争 米中覇権に呑まれる日本』の#1『【独自】鴻海シャープ「AIサーバー国産化」計画が判明!補助金を投入しラピダスも合流へ、日本AIの起死回生なるか…裏で鴻海が経産省と握った「覚悟の密約」』で詳報した。
次ページでは、米中が主導するAI産業戦争に最前線に立つ主力プレイヤー17社を、大きな図解「米主導の西側のAIインフラvs紅いAIインフラ」で一望する。どの企業が計算資源の覇権を狙っているのかを可視化する。併せて、この競争における日本の劣勢を容赦なく突きつける「不都合な三つのデータ」も明らかにする。







