騒乱!ゼネコン不動産Photo by Takayuki Miyai

フジ・メディア・ホールディングスやサントリーホールディングスなど、物言う株主(アクティビスト)の標的となった大企業が、所有する不動産事業の売却を迫られるケースが目立ってきている。そんな中、財閥系デベロッパーである住友不動産も米投資グループであるエリオット・インベストメント・マネジメントの標的となった。連載『騒乱!ゼネコン・不動産』の本稿では、エリオットとの窓口となった専務執行役員に、交渉の内幕と、不動産の売却だけにとどまらない同社の投資戦略について迫った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮井貴之)

三井不動産の次にアクティビストの標的に
住友不動産の交渉の内情とは

――2025年にエリオット・インベストメント・マネジメントが住友不動産の株式を取得しました。当時の社内の状況はいかがでしたか。

 当社は投資先行で借入金を増やして成長してきた会社でしたので、他社に比べて株主還元のレベルが低かったことはエリオットが接触してくる前から、自覚していました。

 22年5月に政策保有株の削減目標を掲げた後、投資を継続しながら株主還元も両立できるステージへと移行できる段階になったため、24年6月の段階で、25年6月に買収防衛策を撤廃することを宣言していました。

 エリオットは、当社がそうした変化の途上にあることを非常によく理解していました。他の投資家は「住友不動産は本当に変わるのか?」と半信半疑で、まだ株価が本格的に上昇する前の段階で彼らは株式を取得したわけです。

――エリオットと交渉した印象は。

 非常に筋が通っており、当社に対する企業研究も相当深く行っています。最初に対話した段階から、当社の事業に対する理解が極めて深いところからスタートしたため、議論が非常にかみ合いました。当社の事業の強みや、他社と比較した優位性を本当に理解していたと感じています。

――三井不動産が最初にエリオットに狙われ、それを受けて三菱地所なども動きだしました。住友不動産の動きはそれらとは関係なく、元々進めていたものなのでしょうか。

 24年5月の段階で買収防衛策の撤廃を決めており、会社の方向性は固まっていました。ただ、株主還元強化などの具体的な内容は、26年3月期から始まる第10次中期経営計画で公表しようと準備していました。

 結果的に、中計の内容と彼らの要望が大きく重なることになりました。外から見ればエリオットの圧力で住友不動産の中計が書き換わったようにも見えるわけで、その意味ではエリオットさんの戦略は非常に上手だったと感じます。

――世間的には、両者が激しく対立しているような印象もありました。

株式取得後、書簡の中で「企業価値およびコーポレートガバナンス向上に向けた追加的施策が講じられない限り、株主総会において住友不動産経営陣に反対票を投じる」とのコメントを明記するなど、住友不動産にプレッシャーをかけ続けたエリオット。具体的な交渉プロセスはどのように進んでいたのか。次ページでは、その交渉プロセスと、エリオットを納得させた住友不動産“独自”の投資戦略について明らかにする。