騒乱!ゼネコン不動産Photo by Takayuki Miyai

建設費の高騰で首都圏の再開発事業が相次いで白紙化する中、もう一つ大きな課題として横たわっているのが、サブコンと呼ばれる電気や空調の専門工事を手掛ける業者の人手不足だ。半導体工場やデータセンターの建設ラッシュも相まって、ゼネコンとサブコンの上下関係が逆転しつつある。連載『騒乱!ゼネコン不動産』の本稿では、サブコン大手の関電工会長で、全国の電気設備工事業を束ねる日本電設工業協会の会長でもある文挾誠一氏に、サブコン不足解消や業界再編の見通しについて語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 宮井貴之)

半導体工場の建設が業界全体の業績をけん引
2024年問題以降、サブコンの施工力不足が露呈

――需要の増加を背景に、サブコン業界の中でも関電工やきんでんといった電気設備工事を担う企業の2026年3月期決算は、好決算が相次ぎました。

 業績をけん引しているのは、やはり都市部の再開発や半導体工場の建設です。データセンター(DC)の需要は、これから本格化していく段階にあります。

 ただ、そうした案件を進めるに当たって、電気設備業界はもともと構造的な問題を抱えています。建設業は長年「3K(きつい、汚い、危険)」といわれてきましたが、その中でも電気設備業はさらに厳しい状況にあります。建築工事において電気設備工事を入れる工程は最後であり、工事が当初の予定通りに進むことはまれです。トラブルや前工程で遅れが発生すれば、そのしわ寄せは電気設備企業に降りかかってきます。建設業全体が3Kといわれる中で、電気設備業の現場は依然として厳しい環境です。

 過去には、夜勤や時間外労働も含めて力技で工期に間に合わせることがありました。しかし、いわゆる「2024年問題」によって時間外労働の上限規制が建設業にも適用されました。われわれの努力や工夫だけでは施工力不足に対応しきれない状態です。そのため旺盛な需要があるにもかかわらず、仕事を受け切れないという事態が発生しています。

――2024年問題を契機として、大手ゼネコンから見た「サブコン不足」が顕在化したということですね。

 人手不足の背景には、長らく価格転嫁が難しかったという構造もあります。元請けからの厳しい条件やコストを下請け側が負わざるを得ない状況が続いてきました。厳しい収支構造の中では、リスクが高い現場についてサブコン側も受注をちゅうちょせざるを得ません。そこに2024年問題が重なり、サブコンの施工力不足が一気に表面化したわけです。この先、生産年齢人口が減少する中、技能者の退職に伴う担い手不足をどう補うかが大きな課題です。

 現在、多くの企業は施工能力さえあれば受注して、売り上げや利益を拡大したいと考えていますが、今は案件を選別し、適正な工期が確保され、価格転嫁ができる案件や利益を確保できるものを選んでいる傾向にあります。これは至極自然な流れです。

――サブコン不足の問題が長引くことに対するリスクや、解消の見通しについてどうみていますか。

DCや半導体工業の建設ラッシュを受けて、存在感が高まるサブコン業界。大成建設の相川善郎社長が「チャンスがあれば(サブコンを)買収したい」と語るなど、再編に向けた機運も高まっている。(詳細は『大成建設トップが明かす「物価高での生存戦略」とは?1600億円で買収した東洋建設とのシナジーと次なるM&Aの標的を披露』を参照)。

次ページでは、関電工会長で、日本電設工業協会の会長を務める文挾氏に、サブコン不足解消と業界再編の見通しについて語ってもらった。