粉飾、二重計上、海外子会社をめぐる不明朗な資金の流れ
不正や不明朗な取引が引き金を引いた「意見・結論不表明」

 まず目立つのは、不正や、その疑いをきっかけに監査が止まったケースです。もっとも、その内容は一つではありません。会計処理そのものの問題もあれば、海外子会社の資金の流れが問題となったケースもあります。

 理由をたどると、まず浮かび上がるのが、不正や、その疑いをめぐる調査です。

 太陽光関連のAbalanceでは、子会社が外注先に製品を渡す「有償支給」という取引が問題になりました。

 本来、製品を渡しただけでは売り上げに計上できません。ところが子会社は、渡した時点で売り上げを立て、最終的な販売とあわせて二重に計上していました。

 第三者委員会は2025年12月、これを「意図的かつ組織的に行われた不正な会計処理」と認定します。過去の決算では、連結売上高が2023年6月期だけで約21億円も水増しされていました。過年度の訂正と原因究明が終わらず、監査法人は半期決算について結論を表明できませんでした。

 同社は2026年1月末、特別注意銘柄に指定されています。

 ここでは、不正の有無だけでなく、その全容が解明され、決算を信頼できる状態まで回復したと監査人が判断できなかったことが、結論不表明につながっています。

 海外子会社が引き金になった例もあります。

 Web会議システムで知られるブイキューブは、米ナスダックに上場する子会社の不明朗な資金の流れが問題となりました。

 子会社が上場に絡んで社外の4社へ支払った業務委託報酬、約8億円。その一部について、当時の代表取締役が取締役会の承認を得ないまま、会社名義で子会社への財務支援を約束する書面を差し入れていたのです。

 契約の相手先と支払先が食い違い、サービスが実際に提供されたのかも確認できない。米国の司法・証券当局の調査も続くなか、監査法人は2026年4月、決算書全体について意見不表明としました。

 このとき監査法人は、内部統制についてこう指摘しています。

「経営者による内部統制の無効化を防止すべき取締役会による監督・監視機能及び子会社管理並びに決算・財務報告プロセスに係る内部統制に開示すべき重要な不備が存在している」

 経営トップによる内部統制の無効化を、取締役会が防げていなかった――監査法人はそう指摘しています。

 ブイキューブは7月1日付で、上場廃止となりました。

 もっとも、上場廃止の直接の理由は債務超過による純資産基準で、意見不表明そのものではありません。つまり、不正そのものだけではなく、「会社の説明を監査人が検証できる状態にあるかどうか」が問われたケースともいえます。

 子会社の売り上げをめぐる不正もあります。

 トーシンホールディングスでは、携帯電話関連の子会社が代理店向けの売り上げを過大に計上していました。第三者委員会は経営トップの姿勢を問題視し、同社は過年度の訂正で約4億8600万円の特別損失を計上。2026年5月には、負債159億9100万円を抱えて会社更生手続きの開始決定を受けました。

 ここまでは、不正やその疑いという、比較的わかりやすい引き金でした。ところが、2026年に「意見・結論不表明」となった会社の中には、不正会計が理由ではないケースも少なくありません。