スポーツ健康科学部の学生と医学部の新入生が共に過ごす「啓心寮」(さくらキャンパス/千葉・印西市)。医学部学生の女性比率は半数を超えているスポーツ健康科学部の学生と医学部の新入生が共に過ごす「啓心寮」(さくらキャンパス/千葉・印西市)。医学部学生の女性比率は半数を超えている 写真提供:順天堂大学

医学部新入生全員が体験する寮生活

――ラ・サールで寮生活を体験した後、大阪大学医学部に進まれた。

綿田 大阪大学では自宅から通える人が多く、ラ・サールのような多様性はありませんでした。私の学年は、100人入学して、そのうち20人が灘高校の出身者でした。

――灘は9割の生徒が医学部志望とも言われていますから。大学院を出てから、医薬学の専門大学院であるカリフォルニア大学サンフランシスコ校に留学されていますね。

綿田 30年前のサンフランシスコは、ゲイやレズビアンが集まる街で、カストロ通りにはレインボーフラッグが立っていました。私のラボにはドイツ、フランス、スイス、イギリスなど、さまざまな国からポスドクとして来ていましたし、住民の4割はチャイニーズです。こうした文化的な多様性は非常に刺激的なものでした。

――ここでも多様性の力強さを実感されたのですね。帰国してから順天堂大に移られています。

綿田 順天堂は大阪では未知の学校でしたが、上司であった河盛隆造先生が1994年に糖尿病・内分泌内科をこちらに開設されたので、帰国後、私も移ってきました。

――師弟関係でしたか。こちらに移られての印象は。

綿田 昔の国立大医学部は研究中心で、臨床は二の次という印象がありました。初めて順天堂に来たとき、患者さんとの接し方がまるで違うことにまず驚きました。臨床はしっかりしているし、それでいて、研究もできる環境が整っている。

――80年前からの伝統である寮生活を医学部の1年生は体験しますね。

綿田 成田に近いさくらキャンパス(千葉・印西市)で、スポーツ健康科学部の学生と1年間の寮生活を送ります。ラ・サールの寮よりも設備ははるかにいいですが、いまの子たちが入るのはきつい面があるかもしれません。しかし、裕福なご家庭の中高一貫校出身者であっても、親元を離れて、全く別のモチベーションで入ってきた、家庭環境も異なる他学部の学生と同室で過ごす経験はとても大きいと思います。

――一般の患者さんに寄り添うという意味でも、そうした実体験は大切ですね。女子学生の存在はいかがでしょう。

綿田 私が学生時代、大阪大学の女子学生の割合は5~10%程度でしたが、現在の順天堂では50%以上、今年の新入生では60%に近い。順天堂では、女性医師はごく当たり前の存在です。