神田川沿いに立ち並ぶ順天堂大学本郷・お茶の水キャンパス。旧順天堂医院の面影を残す7号館(新研究棟)。西側には「勉強部屋」のある教育棟のセンチュリータワーも立つ神田川沿いに立ち並ぶ順天堂大学本郷・お茶の水キャンパス。旧順天堂医院の面影を残す7号館(新研究棟)。西側には「勉強部屋」のある教育棟のセンチュリータワーも立つ

医師国家試験合格率100%2つの理由

――順天堂は2023年に100%を記録したように、医師国家試験の合格率が非常に高いことでも有名です。何か工夫をされているのでしょうか。

綿田 6年生の8月から10月にかけて8つの卒業試験を行いますが、国家試験(翌年2月上旬実施)よりもワンランク難しくしています。

――卒試に受かれば国試は大丈夫と。シラバスでは「医師国家試験に向けた自己学習期間」と位置付けられていますね。他にも高い合格率を維持するための工夫はありますか。

綿田 センチュリータワー内に、医学部6年生専用の自習室「勉強部屋」が設けられています。1年間自分専用の机が用意され、教科書や参考書を置いておけます。部屋は10あり、どの勉強部屋に入るかは学生同士が話し合って決めています。部屋によって雰囲気はだいぶ異なるようですが、一人ではやる気にならない時にも一体感を持って国試の勉強に取り組んでいるようです。大変に贅沢な制度だと思います。

――1年生の時は寮生活を送り、6年生では気の合う仲間と試験勉強に臨む仕組みが用意されているわけですね。この点も他大の医学部にはないユニークさだと思います。ところで、学部長になられて見える風景は変わりましたか。

綿田 これまでと全然違いますね。医学部を客観的に評価して、全体的に臨床力、研究力を上げながらも、強みをさらに伸ばしていく必要があります。とはいえ予算は限られているので、講座やセンターを忖度せずに公平に評価して予算を配分しなければいけないのですが、財務が厳しい。

――医療報酬の絡みで病院経営は大変ですから。これから医学部を目指して医師になろうという生徒にメッセージをいただけますか。

綿田 順天堂の学祖である佐藤泰然が、江戸で西洋医学を広めようとしたことは、基本的には先進的な医療知識を持つ医師を育てることで、社会貢献をしようとしたことに基づくものです。そういう志を持つ人を募って、患者さんに寄り添った医師を育てることが順天堂の使命です。

 現在、日本の皆保険制度の下での医療財政は厳しいことは事実です。医療で金儲けをすることは難しいと思います。ですから、社会貢献をしたいと思わない人、金儲けしたい人は医師にならない方がいいでしょう。

 一方、やりがいがあって、人並みの生活が基本的には保証されていると考えることもできるので、それが良いと思う人が医師を目指すべきです。また、研究をする機会が与えられるので、ノーベル賞を受賞するような研究を行うことも可能ですから、それにチャレンジしたい人も医学部に来るべきです。

――ルーツが同じだけに、以前お話を伺った日本医科大学とよく似ている雰囲気を感じました。