この20年間で大きく変わった順天堂大学医学部。この間の歩みを示す展示(本郷・お茶の水キャンパス7号館)
順天堂の根幹にある多様性の重視
――他にも多様性を感じられるものはありますか。
綿田 地域枠が多いのも順天堂の特徴です。東京慈恵会医科大学(地域枠なし)や慶應義塾大学医学部(栃木県1人/26年から)と比べて、定員140人の順天堂では東京都、新潟県、千葉県、埼玉県、静岡県、茨城県、群馬県を合わせて30人分の地域枠があります。研究医や留学生の枠を合わせた37〜38人が一般選抜の学生と混じることにより、多様性が生まれると考えています。
――地域枠で合格すると、9年間の各都県での勤務と引き換えに、6年分の学費の半額から全額相当を奨学金として支給してもらえますね。2008年度に6年間合計の学費を約900万円引き下げたことで、順天堂は大人気となり、難度も大きく上がりました。
綿田 慈恵会や慶應義塾は、親がかなり裕福でなければ入れない大学です。順天堂は地域枠などであれば、もっと多くの家庭の子も入学してきます。これらの学生が4人に1人いることが、常識から逸脱した経済感覚になることを防いでいます。これは医療を行う上で、とても大切なことだと思います。
東京の私立医大上位4校の中では確実に独自性があると思います。調査をしたわけではありませんが、学生と話をした感じでも、開業医のお子さんは少ないと思います。学生にはいろいろな地域から来てもらいたい。
[聞き手]森上展安(もりがみ・のぶやす)
森上教育研究所代表。1953年岡山生まれ。早稲田大学法学部卒。学習塾「ぶQ」の塾長を経て、1988年森上教育研究所を設立。40年にわたり中学受験を見つめてきた第一人者。父母向けセミナー「わが子が伸びる親の『技』研究会」を主宰している。
――入試問題でも、英語の配点が高いといった特徴がありますね。
綿田 順天堂でもう一つ重視しているのが国際性です。英語の得意な学生の方が多様性はあるように思います。国際的に活躍する人材を育てたいので、そうしたことに興味を持つ学生を採りたいというのはあります。元からしゃべれる学生もいますが、そうでなくても学会などで話すことができる度胸はここで学ぶうちに身に付きます。外国人の患者さんも増えていますし。
――昔ほど医療技術に差があるというわけではないのでしょうが、留学される学生は多いのですか。
綿田 手術に関しても、必ずしも海外の医療が日本を上回っているとは限りません。そのような分野では、日本が世界に誇る強みや優れた実績を積極的に発信していくことが重要です。
現在、私が教授を務める講座から2名が留学しており、また、この秋から台湾より1名の留学生を受け入れる予定です。順天堂全体では、大学院における外国人留学生の数は多く、本学の教育・研究環境が国際的にも高く評価されていることがうかがえます。







