ノマドのフロントドアは、なぜシエラよりも短いのか
フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):ノマドはシエラをそのまま340mm延長し、後席ドアを付けただけだろう……なんて口さがない声も聞こえてきますが、実際はどうなのでしょう? デザインの観点から教えてください。
スズキ 商品企画本部 四輪デザイン部 エクステリア課 主任 福島耕一郎さん(以下、福):全く違います。まずドアが違う。3ドア仕様のフロントドアは、そこから後席へ乗り込む必要があるのでかなり長く造られています。
ノマドには後席専用のドアがありますから、長い必要はない。なので、フロントドアを短くしてBピラーを前へ動かしました。サイドボディとフロントドア、リアドアは、ノマド用に新しく造っています。共通なのはAピラーから前とバックドアです。
スズキ 商品企画本部 四輪デザイン部 エクステリア課 主任 福島耕一郎さん Photo by AD Takahashi
F:なるほど。確かに3ドア仕様のドアはすごく長かったですものね。
福:さらにいうと3ドアのボディは、真上から見ると実は完全な長方形ではありません。前から後ろへ向かうに従って、左右の側面がごく緩やかなカーブを描きながら、少しずつ内側へ絞られています。極端に言えば、細長いラグビーボールの一部のような形です。
F:気付きませんでした。単純な長方形ではないんですか?
真上から見ると、実はラグビーボール形だった
福:シエラのカーブを同じ勢いで340mmも延長すると、車体の後端が絞られ過ぎて3ドアと共通のバックドアへ良い形でつながらなくなってしまいます。長くなった分だけ側面をわずかに立て、最後は共通のバックドアへ自然につながるようにしています。……といっても、本当に気付かれないぐらいの微妙な違いです。
≪なんと。真四角だと思っていたジムニーは、真上から見ると実はごくわずかに尻すぼみになっていた。しかもノマドは、シエラと同じように“四角く見せる”ために、その尻すぼみの度合いをシエラより緩くしているというのである。
同じように見えるのに、実際の曲線は違う。
何も知らない素人が「真ん中を切って伸ばしただけだろう」などと口にしている裏で、デザイン部隊は誰にも気付かれず、そっと曲線を引き直していたのだ。≫







