こうしたニーズが増えている背景には、深刻な「採用の難しさ・人材不足」と「今いる人材のリスキリング(学び直し)」への課題があります。

 どの企業も今、人が採れません。そのため、いかに今いる人を組織に定着させ、育て、次の人材を呼び込むかが、企業の死活問題になっています。また、AIによる急激な業務プロセスの変化が進む中で、従来の仕事のやり方を変えたり、新しい技術や業務の学び直しが求められる社員も増えています。

 先の見通せない未来への不安や家庭や介護や育児などのケアとの両立の悩み、この先のキャリアへの不安。こうした「個人の本音」を拾い上げ、孤独にさせないためにも、社外の人材や他部署の先輩といった「斜めの関係にある第三者」の存在が求められています。また、「不安の解消」というだけではなく、仕事やマネジメントの中で、部外・社外の新鮮な視点を取り入れ社員の成長を促すことの重要性はますます増しています。

 社内にロールモデルが不在のため、多様な経験を持つ「社外メンター」を導入する企業。組織の縦割りや孤立を解消し、つながりを強化するために「社内メンター制度」を見直す企業。アプローチはさまざまです。

 ただし、「対話」を通じて個人のキャリアの自律を促し、組織とのエンゲージメントを高めるメンター制度の導入は、これからの組織運営において、もはやオプションではなく必須のインフラとなりつつあるのです。