政府が勝者を選ぶのではない
こうした提案には、「政府が特定企業を選べば、官製相場になるのではないか」という批判が必ず出る。
その懸念は正しい。政府が構成銘柄を決めれば、採用企業の株価には政策のお墨付きが付きかねない。企業が技術開発より政治家や官僚への陳情に力を入れるようになれば、逆効果である。
したがって、政府が決めるのは「分野」と「政策目標」までに限定する。政府が勝者を選ぶのではない。政府が競争の土台をつくり、市場に勝者を選ばせるのである。
企業選定は政府から独立した民間主体が行い、採用基準も公開する。ここで政策の評価基準と、投資指数の採用基準は分けるべきだ。
政策については、民間投資額、国内設備投資、輸出、雇用、賃金、生産性などで成果を検証する。一方、指数については、当該成長分野の売上比率、研究開発費、成長率、海外売り上げ、収益性、時価総額、浮動株、流動性など、市場性を重視して選ぶ。
名称がJ-Tech 17だからといって、指数を17社に限定する必要はない。17社だけでは特定企業への集中リスクが大きすぎる。
三菱重工業は、防衛、宇宙、海洋、フュージョン、GXにまたがる。NTTは通信、量子、AI、サイバーセキュリティに関係する。味の素は合成生物学とフードテックの双方に入る。各分野から代表企業を1社ずつ選べば、同じ巨大企業ばかりになりかねない。
そこで、17の「テーマ」を設定したうえで、実際の指数は各分野3~6社程度、全体で50~100社から構成する。一企業の組み入れ比率には上限を設け、特定企業への集中を防ぐ。
構成企業も定期的に見直す。技術開発や設備投資を怠った企業は外し、新しい技術や市場を開いた中堅企業を加える。「一度選ばれれば安泰」という国策企業化を防ぐためである。
いわば各分野を「リーグ」に分け、企業が入れ替わる仕組みだ。これなら、政策によって特定企業を固定的に優遇するのではなく、民間市場による競争と選別を働かせることができる。
ETFだけで終わらせてはいけない
もっとも、ETFや投資信託を買った資金が、そのまま企業の設備投資に回るわけではない。株式市場で既発株を売買するだけなら、基本的には投資家同士の取引だからである。
しかし、投資家層が広がり、企業価値がより多面的に評価され、流動性が高まれば、企業は増資やIPOなどによって資金調達をしやすくなる。したがってJ-Tech 17を単なるETFの販売促進策にしてはいけない。







