「相手起点」と「目的起点」を貫く
私が、創業者の堀紘一氏から教わったプロフェッショナルの基本は、2点に集約される。
一つは、自分たちの都合ではなく、相手が動ける形から考える「相手起点」。
もう一つは、作業や手法ではなく、実現したい成果から考える「目的起点」である。
前者は、自分主語で物事を組み立てていないか、サプライヤーロジックに陥っていないか、という問いだ。
動き方、アウトプットの出し方、質問の仕方に至るまで、すべてを相手の立場から考える。分析として正しい提案であっても、相手の状況や、社内で意思決定プロセスを無視すれば実行には移されない。
正解を示すだけでは足りない。相手が動ける形に変換するところまで考える必要がある。
後者も、言葉にすれば当たり前に聞こえる。
しかし、プロジェクトが進むほど、会議を開くこと、資料を作ること、計画どおりに作業すること自体が目的になりやすい。
そんなとき、繰り返し問われたのが、「このプロジェクトの目的は何か」「なぜ、この作業が必要なのか」だった。
目的に立ち返れば、不要な作業を大胆にそぎ落とせる。余白が生まれるからこそ、新しい発想も生まれる。
20年コンサルティングに携わってきた今も、この2つは最も重要な基本であると、改めて痛感している。
この思想は、創業者だけのものではない。
創業メンバーで後に代表を務めた山川隆義氏は、業界や組織の境界を越えて人と知恵をつなぎ、新しい事業を生み出す営みを「ビジネスプロデュース」と表現した。
顧客とは異なる業界やベンチャーの事業構造からヒントを見つけ、これまで接点のなかった企業や技術を結びつける。
前の記事で述べた「のりしろ」は、まさにこのビジネスプロデュースの考え方と重なる。
その思想は歴代の経営陣によって磨かれ、現在のDIにも受け継がれている。
AI時代、部分最適だけでは会社は変わらない
生成AIの普及で、個人や特定業務の生産性を高める手段は、急速に増えた。
だが、新しいツールを導入すれば、会社全体の成果も自動的に増えるのか。
答えは「NO」だ。
各部門や個人の効率が上がっても、それらがつながらなければ、全体としての成果には結びつかない。
成果は、全体最適の設計から生まれる。だからこそ、いま改めてAI時代のDXや経営の本質が問われている。
本稿で言うDXは、デジタルツールの導入や個別業務の効率化だけを指すものではない。業務に加え、組織体制や意思決定、カルチャーまでを変え、会社全体の成果につなげる取り組みである。
では、会社全体を変えるDXを、構想だけで終わらせず、実行段階までどう前へ進めるのか。






