Photo:SANKEI
17の分野、62の製品・技術に重点投資
先端分野重視で「強い経済」は実現するか
高市政権は、閣議決定した「骨太方針2026」の目玉として、「370兆円の官民投資」を掲げた。
成長戦略の看板政策である「危機管理投資・成長投資」を具体化するもので、戦略分野への官民投資を拡大することで、危機にも動じない「強い経済」を実現し、国民生活を守るとしている。
基となったのは、7月にまとめた「日本成長戦略」で、同戦略は、AI・半導体、防衛産業、造船、創薬・先端医療、フュージョンエネルギーなど17の戦略分野を設定し、62の主要な製品・技術について、2040年度までに官民合わせて累計370兆円超の投資を実行する計画だ。
なかでもAI・半導体分野の想定投資額は100兆円を上回っており、次いでデジタル・サイバーセキュリティ、創業・先端医療などの先端分野に巨額の投資が振り向けられる予定だ。
こうした政府の支援が呼び水となって民間投資が拡大すれば、0.5%~0.6%程度と、低迷する日本の潜在成長率を押し上げる可能性がある。
だが、AI・半導体といった先端産業がけん引する形で潜在成長率が上昇しても、それだけで「強い経済」が実現するわけではない。過去に日本が直面した危機を振り返れば、重要なのは経済安全保障や先端分野だけではないことがうかがえる。
例えば、コロナ禍に感染症が蔓延するなかで、国民の生命や健康を守ったのは医療従事者の奮闘であり、自然災害の発生時には、物資の円滑な運搬のために運輸業や道路・港湾・通信などのインフラが不可欠だ。もちろん先端産業支援も重要だが、医療や介護、物流、地域交通、建設といった「支える供給力」が、経済成長の基盤であり、国民生活を守る基本だ。とりわけ人口減少が進み、人手不足が深刻化する供給制約に直面し始めている日本では、むしろ「支える供給力」が失われていくことこそが差し迫ったリスクになりつつある。
そこで参考になるのが、2010年代に英国で提唱された「Foundational Economy(基盤経済)」という考え方だ。







