英国のトラス元首相は、国債を主要な財源として減税差策を打ち出したがポンド急落・金利急騰を招き2022年10月25日に在任期間わずか45日で退任に追い込まれた Photo:PA Images/JIJI
「責任ある積極財政」を掲げる高市政権の下で、長期金利の上昇が続いている。日本版「トラス・ショック」を警戒する声がある一方、日本では同様の危機は起こりにくいとの見方も根強い。英国が危機を封じ込めた過程を検証し、日本が円と国債への信認を自力で維持するための条件を考える。(ニッセイ基礎研究所経済研究部専務理事 伊藤さゆり)
長期金利上昇で強まる財政懸念
日本版「トラス・ショック」は起きるのか
「責任ある積極財政」を掲げる高市政権の発足以降、日本の長期金利は上昇トレンドをたどっている(図表1参照)。
長期金利の上昇は、日本の財政の持続可能性への懸念の高まりを反映する動きと捉え、2022年の英国の「トラス・ショック」のような事態に発展することを憂慮する声がある。27年4月からの2年間の消費減税が、具体的な財源の裏付けを欠いたまま打ち出されたことで懸念は強まっているように感じられる。
その一方、日本では「トラス・ショック」のような危機は起きないとの見方は根強い。その理由として、日本は英国と異なり、経常収支は黒字、対外純資産国であること、そして国債等の海外投資家による保有割合が、英国のおよそ3割に対して、日本はその半分程度、15%弱の水準にある(図表2参照)ことが指摘される。
次ページでは、「トラス・ショック」を振り返りつつ、現在の英国と日本とを対比しながら日本の独力による信認の維持・回復の可能性を論じる。









