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「軍事作戦が失敗したから経済制裁」は本当か
アメリカの対イラン戦争が、第二段階に入った。
8月24日、スコット・ベッセント米財務長官は、イランとその支援者を国際経済から切り離す「経済的追放作戦(Operation Economic Outcast)」を発表した。ベッセント氏はこれを「Dデー(軍事作戦の決行日)」になぞらえ、「この専制的な政権を存続させているあらゆる経済的命綱を断ち切る」と宣言した。
対象はイラン企業だけではなく、イランとの取引を続ける第三国の企業、金融機関、船会社、両替商などにも二次制裁をかけ、米ドルを中心とする金融システムから締め出す構えである。
この動きを、多くのメディアは「軍事力でイランを屈服させられなかったため、トランプ政権が経済制裁へ軸足を移した」と説明しているが、本当にそうなのだろうか。
私はむしろ、アメリカの対イラン戦略は、最大の誤算だったホルムズ海峡を除けば、大筋では当初想定した方向に進んでいると見る。
米軍が担当する第一段階は、イランの軍事力を破壊すること。そして、財務省が前面に出る第二段階は、その軍事力を再建するための資金、部品、国際的な取引網を断つことだ。
つまり、いま起きているのは「軍事作戦から経済制裁への撤退」ではない。「破壊」から「再建不能化」への移行なのである。
米軍のイラン攻撃は本当に失敗したのか
アメリカがイランに対して掲げてきた目標は、もともとイランという国家を占領することではなかったのだが、イラン攻撃を取り上げたテレビ番組などでは、そのようにとらえていた出演者が意外なほど多かった。
トランプ政権が2025年2月4日に発表した国家安全保障大統領覚書NSPM-2を見ると、目的はかなり明確だ。
(1)イランに核兵器を持たせない
(2)弾道ミサイル能力を抑える
(3)革命防衛隊と代理勢力を弱体化させる
(4)革命防衛隊の活動を支える資金を奪うこと
という4点である。
しかもこの段階で、トランプ大統領はベッセント氏に「継続的で強力な制裁執行」を行い、イラン政府と代理勢力の収入を断つことが命じていた。国務長官には財務長官と協力してイランの石油輸出をゼロに近づけること、特に中国向け原油輸出を対象にすることまで振り付けられていた。
軍事作戦が始まるずっと前から、「軍事」と「経済」は別々の政策ではなく、同じ対イラン戦略を構成する二本柱として準備されていたのである。そして今回、ホワイトハウス自身が、軍事力によってイランの軍事能力を大きく削った後の「最終局面」として、金融攻勢を位置づけた。
実際、今年2月末に始まった軍事作戦によって、イランの防空網、空軍、通常海軍、ミサイル関連施設、軍需産業などは大きな打撃を受けた。軍事力の中核が削られてしまった。
もちろん、イランのミサイル攻撃能力やドローン能力が完全に消滅したわけではないし、核関連施設を攻撃しても、核技術や人材まで消えるわけではない。しかし「米軍がイラン軍を倒せず失敗した」という評価は正確ではない。
むしろ問題は、軍事的に大きな損害を与えても、それだけではイラン指導部をアメリカとの交渉に応じさせられなかったことにある。戦術的な成功は果たしたのだが、政治的な決着はまだ先のことだということになる。







