タイヤと車重、それぞれの違い

 N-ONE e:が履くタイヤは155/65R14。Super-ONEは185/55R15。タイヤの幅は一本あたり30mmも違う。Super-ONEでもスタートダッシュ時に多少のスキール音は聞こえたが、ここまで派手に鳴くものではなかった。

 車重はN-ONE e:が1030kg、Super-ONEは1090kg。N-ONE e:の方が60kgも軽い。

 1トンちょいの車重で60kgの差は大きい。

「軽いN-ONE e:の方が発進では有利」と単純に結論づけることもできないし、「タイヤが太くグリップに優れたSuper-ONEの方が有利」と安易に決めつけることもできない。

 路面のμやアクセルの開け方で結果は変わってくる。要するに、やってみなければ分からない。これはぜひクローズドコースで試してみたい。

N-ONE e:が履く155/65R14タイヤN-ONE e:が履く155/65R14タイヤ Photo by F.Y.

 それにしても、である。私は編集女史に、このクルマを「もう書かなくても良いスよね?」とまで言ってしまった。お恥ずかしい。撤回します。

 N-ONE e:はマジメに向き合うと結構ヤバいクルマだ。後輪に荷重のかかる上り坂で、不用意にアクセルを踏み込むと特にヤバい。ホイールスピンが延々続く。徐々に「どこまで踏めば余計なホイールスピンを起こさずにダッシュを決められるのか」が分かってきた。

 いやこれはマジで面白い。Super-ONEの“毒”に圧倒されて印象が薄れてしまい、“原稿を書くために”仕方なく借り直したクルマだった。それがいつの間にか、走ること自体を楽しんでいる。最初に乗ったとき、なぜこれに気が付かなかったのか。

N-ONE e:のドライブシャフトとブレーキ周りN-ONE e:のドライブシャフトとブレーキ周り Photo by F.Y.

「ただの軽EV」ではなかった――キャラの豹変

 恐らく私はN-ONE e:を「ただの軽EV」として見ていたのだ。静か。滑らか。街中では十分に力がある。取り回しもいい。なるほどよくできたクルマですね。何だかんだ言っても、これからはEVの時代ですからね。そんな具合に考えていた。

 そこにSuper-ONEが来た。

 BOOSTがある。仮想の変速がある。踏めばグイグイ走る。そして何より、乗っていて笑みがこぼれる。その印象が余りに強烈で、頭の中でSuper-ONEが「面白い方」、N-ONE e:が「普通の方」に分類されてしまったのだ。面目次第もございません。

 改めて乗れば、N-ONE e:も十分に面白い。だが面白さの「質」が違う。

 Super-ONEはのっけから「もっと踏め」とドライバーを煽ってくる。

 一方のN-ONE e:は何食わぬ顔で静かに走る。普通に曲がる。普通に止まる。だがひとたび右足を強く踏み込めばガラリと表情を変える。Super-ONEと同様の、あるいはそれ以上のスタートダッシュを見せる。このギャップが面白い。