日常の「ここ一発」が右足ひとつで出る

 街中では扱いやすく、軽く踏めば軽く出る。踏み足せばその分だけ素直に前へ出る。モーター駆動だから、変速ショックは皆無でリニアに立ち上がる。

 右折で車列の切れ目に入る。合流で流れに乗る。車線変更で少しだけ前へ出たい。そうした「あと一歩」がスッとすぐに出る。64psという数字だけを見ていると、いかにも軽自動車らしい数字に思えるが、街中で非力さを感じる場面はまずない。それでいて普通に流していると、先ほどまでタイヤを鳴かせていたクルマとは思えないほど大人しい。この“落差”こそが、N-ONE e:の魅力なのだと思う。

 ただし、これで「だったらN-ONE e:で十分じゃん」と結論付けてはいけない。

急速充電中のN-ONE e:急速充電中のN-ONE e: Photo by F.Y.

高速に入ると見えてくる、64psと95psの差

 高速道路へ入ると、話は大きく変わる。料金所を抜け、本線へ向かうランプで加速する。アクセルを深く踏み込む。街中ではあれほど元気だったN-ONE e:だが、速度が上がるにつれて勢いは穏やかになっていく。本線を走るクルマの速度を見ながら、合流に向けてさらに踏み込む。ここでハッキリSuper-ONEとの差が出る。比べるべくもない、と言えるほどの差が出る。Super-ONEなら、BOOSTボタンを押してアクセルを踏み込めば、50km/hから先にも明確な加速の伸び代が残っている。合流車線の短い区間でも、欲しい速度までイッキに持って行けた。だがN-ONE e:だとそうはいかない。

 いや、無論高速道路を苦手としている訳ではない。交通の流れに乗って巡航する分には何ら不満がないし、軽EVとして見れば十分に走る。60、80km/h。そこから更に速度を乗せたいという場面になると、64psと95psの差はいかんともし難い。スタートダッシュ直後の“一瞬”だけを切り取れば、「あれ、同じじゃん」と思わせた2台が、速度を上げるに連れて明確に差が出てくる。

 N-ONE e:は確かに速い。ただし、その“速さ”は街中で使う速度域に集中させている。

 信号から発進する。交差点を曲がる。流れに乗る。ちょっと前へ出る。そうした日常の領域では、必要十分どころか、ドライバーをニヤリとさせるほど元気が良い。

 一方のSuper-ONEは、その先の領域まで行く。街中で速いだけでは終わらない。高速で速度が乗ってからも、更に加速する。BOOST時70kW、95psという数字が「ああ、こういうことか」と実感に変わる。