「もっと早く譲れ」に呆然…「飛行機・鉄道のマナー論争」に解決策は? Photo:PIXTA
なぜ日本人は、飛行機や新幹線のマナーに厳しいのだろうか。人々はマナー違反に強く反応し、怒り、SNSで拡散する。なぜだろうか。年に120回出張する経営コンサルタントが、2つの解決案を提示したい。(未来調達研究所 坂口孝則)
飛行機で酔っぱらう美魔女、新任機長…
年120回出張する私が出会った人たち
出張で飛行機に乗っているとき、隣に座った酔っ払いに話しかけられたことがある。正午ごろに羽田を出る福岡行きの便だ。
読者の皆さんは今、どんな酔っ払いを想像しただろうか。早々と仕事の終わった男性会社員? それともリタイアして悠々自適なシニア男性? どちらも違う。中年女性だった。いわゆる美魔女といわれそうな風貌だった。
その女性は、やることがなくて、いつも飛行機に乗っているとのこと。手持ちの水筒の中に、恐らくウイスキーを入れて飲んでいた。あまり敏感ではない私も、その臭いには気づいた。女性はそのまま眠りにつき、飛行機は着陸。乗客の降機が始まっても、その女性は寝たままだった。
次のエピソードは、羽田から北海道に向かっていた日。機長がいつも通りのアナウンスをした後、「ところで、個人的な話ではあるのですが……」と切り出した。
驚いた。私は瞬時に、仕事への不満でもぶつける気か?と思ったが、違った。「このフライトは、私が機長になって初のフライトです。初心を忘れずに……」と思いの丈を語り始めた。感動的なスピーチだった。私はその航空会社が好きになった。
また別のエピソード(これで最後)。麻布十番駅から四ツ谷駅まで東京メトロ南北線で移動したときのことだ。私は電車では、できるだけ立っているタイプだ。しかし、その日は仕事の関係者と一緒だったので座っていた。車内は混雑しており、私の前にシニア女性が立った。
どうしようかなと思ったが、途中で、やっぱり女性に席を譲ろうと立ち上がって目線と手振りで「どうぞ」と伝えた。麻布十番駅の次の、六本木一丁目駅に着いてすぐだ。
すると、そのシニア女性は目を合わせずに「もっと早く譲れ」と言い放った。私は呆然としてしまった。
私は仕事柄、年に120回ほど出張している。公共交通機関では、さまざまな経験をしてきた。さて、3つのエピソードのうち、いちばんSNSで拡散されそうなのはどれだろう。
きっと、南北線のシニア→酔っぱらいの美魔女→新任機長の順ではないだろうか。美魔女の話は、もしかすると読者によっては「女性に誘われた自慢話か」などと思われるかもしれない(断じて違う)。一方で、感動的な機長の話はきっと多くの人が「ふーん」で終わるだろう。
最近、特に飛行機や新幹線などでのマナーについてネット上でよく話題になる。人々は海外の戦争の話よりも、身近で理不尽なマナー違反に強く反応し、怒り、SNSで拡散する。なぜだろうか。







