「現金商売だから脱税しやすい」は誤り
すぐに見抜かれるワケ

――インフルエンサーのような新しい業態だけでなく、身近な業種でも不正はバレるものなのでしょうか。

 もちろんバレます。例として身近な飲食店の場合、典型的な脱税の手法は「売り上げ除外」です。レジを通さずに現金だけ抜いてしまうなど、売り上げそのものを隠してしまうことですね。しかし現金売り上げだけを不自然に少なく申告すると、クレジットカードや電子マネーでの決済比率とのバランスが悪くなり、すぐにおかしいとわかります。

 また、仕入れの量から逆算して「これだけ食材を仕入れているのに、この売上高はおかしい」と気づかれるケースも多いです。原価率から売り上げを推計されると、抜き取った分はほぼ確実に浮き彫りになります。

 他には、美容室やエステサロンなども似たような構造です。予約管理システムやカルテのデータには、来店客数や施術内容の記録が残っています。これと申告された売り上げを突き合わせれば、「予約は毎日埋まっているのに、売り上げがこんなに低いのはおかしい」とすぐに見抜けます。

 また、材料の仕入れ量やスタッフの人数・稼働時間から見た受注可能件数と、申告売り上げのバランスもチェックされるポイントです。

「お店の実態」と「申告書の数字」を、外側にある別のデータ(決済記録、仕入れ、予約状況など)と突き合わせることで矛盾があぶり出される、という点です。現金商売だから脱税しやすい、という認識は大きな誤りです。

データ、タレコミ、現場での追い込み…
税務署の3つのテクニック

――売り上げと仕入れから推測して不正を見抜いたり、匿名からのタレコミを参考にしたりと、いろいろなテクニックがあるようですね。実際、税務署はどのような手法を組み合わせて不正を追及しているのでしょうか。

 大きく「データで当たりをつける」「人からの情報で当たりをつける」「現場で心理的に追い込む」という3つのテクニックがあります。

 まず基本になるのが、申告された数字と、外側にある別のデータを突き合わせる手法です。