上司に無理な仕事を頼まれた時、「ノー」と言わずに断れる人は何と返す?職場の上下関係はしばしば「感情・意志の境界」を混乱させ、立場が上の人の意見や提案が、指示・命令にすり替わってしまうことがある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

人間関係にまつわる悩みや苦しみは、「境界の混乱」から生まれます。それなのに、多くの人はそれに気づくことなく、「自分が悪いんだ」「あの人のせいだ」と自分や相手を責め、終わりのない悩みにひとりでつらさを抱えこんでしまいます。今回は、職場の人間関係がスムーズになるテクニックを紹介します。※本稿は白梅学園大学の長谷川俊雄名誉教授の『しんどい人間関係に境界線をつくる心地いいバウンダリー』(日本文芸社)の一部を抜粋・編集したものです。

Q 苦手な相手と話すのがつらいです
A だてメガネやマスクで物理的に「境界線」を引いてみましょう

 仕事となると、苦手な相手でも直接話す必要がありますが、目に見えない「感情・意志の境界」をいかに引くかが難しいところですよね。

 そんなときは、だてメガネやマスクをつけて、物理的に「境界線」を引くという方法もあります。とくにマスクは、自分を「匿名化」して、人との間に境界を引くことができるアイテムです。

 その他簡単にできる方法としては、自分の椅子を少し引いて、相手と距離をとるのもよいでしょう。

 その場の状況に応じた方法で、さりげなく「境界線」を引いて、落ち着ける環境をつくってみてください。

物理的な「境界線」を引く
5つのテクニック

1 だてメガネをかける

 度の入っていないだてメガネをかけると、メガネがフィルターの代わりになって、気持ちがずいぶん落ち着きます。ふだんメガネをかけている人は、逆にメガネを外すのもおすすめです。

2 マスクをする

 手軽な方法としては、マスクをつけて話すのもよいでしょう。マスクは自分を「匿名化」し、相手との「境界の混乱」を抑えてくれます。

3 相手が話しているときは視線をぼかす

 相手の話を聞くとき、目と目が合うと萎縮してしまいますよね。相手の首・肩・胸元のあたりを見て、視線をぼかす感じを意識するとよいでしょう。

4 自分が話すときは視線を合わせる

 自分が話すときには、相手と視線を合わせて。「そうなのですね。わたしは……」と、「わたし」を主語にして話し出すのがコツです。

5 椅子を少し引いて座る

 相手との距離が狭いときは、自分の椅子を少し引いて、心もち距離をとりましょう。相手から受ける圧迫感や、自分の緊張を軽減することができます。

●「次」に向けてのテクニック

 ここまでに紹介した5つのテクニックは、あくまで短期的な対処法です。苦手な相手と定期的にやり取りしなければいけない場合は、ここで紹介する、相手とほどよい距離を保ち続けるためのテクニックを活用してみてください。
○相手の了承を得たうえで、メールでやり取りをする
○自分の感情を伝えず、必要な事柄だけをストレートに伝える
○よけいな話や言い訳を控えることで、追及されないようにする