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中国恒大の創業者に無期懲役の判決
2026年8月20日、中国の深セン市中級人民法院は、中国恒大集団の創業者・許家印(ちょう・かいん)氏に対し、無期懲役、政治的権利の終身剝奪(はくだつ)、個人財産の全額没収を言い渡した。恒大集団には88億2000万元(約2100億円)、主力子会社の恒大地産には70億元(約1660億円)の罰金が科された。
同日、恒大関連では許氏以外にも56人に判決が下った。罪状は「恒大を倒産させたこと」ではなく、2016年から2021年にかけて恒大が継続的かつ大規模な財務粉飾を行い、資産を水増しし、負債を隠していたことである。
2021年のドル建て債務のデフォルトをきっかけに経営危機が表面化し、2024年1月には香港高等法院から清算命令を受けていた。
許氏らは、違法な預金吸収、集資詐欺、証券発行をめぐる詐欺、重要情報の虚偽開示、違法融資、違法な資金運用、贈賄などを行ったことが認定された。
注目すべきは「贈賄」の扱いだ。裁判所は、恒大と許氏が贈賄によって金融機関の支配権を取得し、そこから信用資金や保険資金を違法に引き出したものだと認定した。単なる粉飾決算事件ではなく、資金調達の仕方も犯罪として認定されたのである。
これは、中国の不動産業界を長年支えてきた、デベロッパー・地方政府・金融機関の相互依存関係そのものが限界に達している現実を象徴している。
判決翌日に破産申請受理、残された「巨額債務」の行方
8月21日、広州市中級人民法院は、広州農村商業銀行による恒大地産の破産清算申し立てを正式に受理した。恒大地産には返済能力がなく、保有資産だけでは負債をカバーできないとした。
20日には「誰の犯罪か」を決定し、翌21日に「残された巨額債務をどう処理するのか」が突きつけられた。恒大の負債は2022年末時点で約2兆4000億元、当時の為替で3300億ドルを超え、うちオフショア債務は約230億ドルに及んでいる。
恒大の清算人が2025年8月までに売却できた資産約2億5500万ドル(約407億円)に対して、届け出られた債権額は約450億ドル(約7.2兆円)に達する。債権額の0.6%にも満たない。
しかも、資産回収の追撃は許氏個人の海外資産にまで及ぶ。2025年9月16日、香港高等法院は清算人を許氏の資産の接管人に任命した。その範囲には一族がオフショア企業を通じて間接支配する資産(信託構造を含みうる)が入っており、処分禁止命令の対象となった資産は最大77億ドル(約1兆2300億円)にのぼる。オフショア信託という「最後の防御線」にまで、司法の手が伸び始めているのである。
清算手続きは今後も続くが、債権者への回収が極めて困難であることは明らかだ。
中国政府は「誰が悪かったのか」には明確な答えを出したものの、恒大が残した巨大な損失を、銀行、住宅購入者、取引先、社債投資家、株主などの間でどう負担するのかという難問の答えは出ていない。







