個人年金・積立年金を給与収入がある年に一括で受け取ると、一時所得の課税対象額が給与所得などと合算されて所得税・住民税が計算される(一時所得の課税対象額={一時所得の収入-必要経費-特別控除(最高50万円)}×1/2)。

 給与の額や個人年金の一括受け取りの金額にもよるが、給与が高い人だと、一時所得の課税対象額に対して、所得税20%、住民税10%、合計30%の税率がかかるケースもある。

 投資信託など金融商品の運用益にかかる税率は約20%なので、それと比べても30%という税率は重い。しかも、金額によっては確定申告が必要になる。

誕生日が11月~12月か
1月なのかで税負担は変わる

 特に60歳を迎える誕生日が11月、12月で、その月末に定年になるケースだと、給与収入がほぼ1年分となる。定年と同時に個人年金・積立年金を一括で受け取ると、総合課税の税率は高くなる傾向にある。

 反対に1月が誕生日で、2月以降は働く予定はなく、他に収入がないなら、一括で受け取ったとしても税負担はそれほど重くならないだろう。

 税金は「1月から12月」で計算されることを念頭に置いておかなくてはならない。

 一方、年金で受け取っても、個人年金の雑所得は、給与や公的年金などのその年の他の所得と合算して総合課税になる。お宝保険と言われるような、予定利率が高い時期に契約した個人年金だと、増えている分、雑所得も多くなる。年金だけの収入なら、税負担よりも社会保険料負担を気にした方がいいかもしれない。

 どちらが得なのかは、年金額や他の収入により結果は変わってくるので、ケース・バイ・ケースだ。

 多くの人が「税金が一番安くなる受け取り方法を選ぶといい」と考えがちだが、実際の相談ではそんな単純な話ではない。

全員に共通する
「お得な受け取り方法」はない

 実際のコンサルティングでは、次のことを確認しながら、最適な受け取り方法をアドバイスする。もちろん、本人の希望も確認する。

・住宅ローンはどのくらい残っているか
・大学生、大学院生の子どもがいる場合、教育費は準備できているか
・再雇用後の給与はいくらか、下がった給与で生活できそうか
・65歳からの年金収入の見込み額はいくらになりそうか
・預貯金や他の金融資産はいくらあるか
・退職金を年金で受け取りたいかどうか
・DCやiDeCoをどう受け取りたいか
・個人年金を繰り下げると、年金額はいくら増えるのか

 老後資金の受け取り方に「全員に共通する正解」はない。

 大切なのは、税金だけを見て決めるのではなく、自分が持っているお金をすべて並べて、いつ、どのお金を使うのかを考えることだ。

 そのためにも、60歳を目前にしてから慌てるのではなく、50代のうちから「自分のお金には、どんな税金がかかるのか」を知っておきたい。