沖縄の若い世代にとって、基地問題は生活から切り離された抽象的な問題ではありません。同時に、賃金、物価、雇用、住宅、子育て、教育なども切実な問題です。選挙では、その時点で何を最も優先するかが問われます。「経済を最優先した」ということと、「基地問題を容認した」ということは同義ではありません。

 私はこれまでも、沖縄の現在の状況を「諦め」ではなく「我慢」と見るべきだと考えてきました。

 諦めたのであれば、基地問題そのものに関心を持たなくなります。しかし、実際には日米地位協定への不満、米軍基地が沖縄に集中していることへの違和感、事件・事故が起きた際の捜査権や身柄引き渡しをめぐる問題意識は残っています。

基地問題を一つのパッケージとして
考えなくなっている

 重要なのは、沖縄県民が基地問題を一つのパッケージとして考えなくなっていることです。

 辺野古移設に賛成する人が、日米地位協定の現状にも賛成しているとは限りません。日米同盟が必要だと考える人が、沖縄への基地集中を受け入れているとも限りません。自衛隊の南西諸島配備を安全保障上必要だと考える人が、米軍基地に関するすべての問題を容認しているわけでもありません。

 選挙ドットコムの投票マッチングの結果は、この点で非常に興味深いものです。

 このデータは無作為抽出による世論調査ではなく、沖縄県在住の投票マッチング利用者から寄せられた1万1462件の回答を集計したものですが、「支持する政党はない」と答えた人が7割を超え、30代以下が65%、40代以下では83%を占めています。また、「必ず投票に行っている」と答えた人も68.5%に上り、投票頻度の高い若い無党派層が多く含まれるデータです。

 そのため、沖縄の若い世代、とりわけ既存政党に強く帰属しない層が、個別の争点をどう見ているのかを考える一つの手掛かりになります。

 日米地位協定の抜本的改定については若い無党派層でも賛成傾向が強くなっています。また、南西諸島への自衛隊配備についても、辺野古移設とは異なる判断が示されています。つまり、有権者が一つ一つの問題を切り分けて判断しているのです。

本土の新聞やテレビが
読み誤っていること

 これは沖縄社会が「基地問題を忘れた」ということではありません。むしろ私は、政治意識が成熟してきたと見ています。