人事部門に提言すること――「果報は練(ねっ)て待て」
最後に、人事部門への提言です。
個人の成長と組織貢献を連動させる「パラレルキャリア推進制度」を、全社で構築・展開してみてはいかがでしょうか。社外で個人の収入補填を目的とする「副業」ではなく、個人の成長と組織への還元の両立を目的とするパラレルキャリアだからこそ、企業の人事部門が旗振り役をつとめる意義と効果があります。
人事部門が制度化するにあたっては、以下の3点がポイントとなります。
(1)活動対象の限定:単なる小遣い稼ぎの副業や趣味の活動ではなく、「本業改善」「自己研鑽」「社会課題解決」に資する社外活動(活私奉公型パラレルキャリア)を対象と定める。
(2)対象者のタイミング設定:入社直後や異動直後の社員は除外し、まずは本業で自立できている層(入社3~5年目以降など)を対象とする。
(3)還流を促進する推進体制の構築:個人任せにせず、社外で得た知見やスキルを部署横断で発表・共有できる場(社内ナレッジの水平展開など)を設定し、学びやスキルレベルに応じて、活用が期待できる業務やプロジェクトに当事者(パラレルワーカー)を登用する。
そして何よりも大事なことは、経営トップが社外活動の有効性を理解し、推進に積極的にコミットすることです。トップのコミットメントなしには「パラレルキャリア推進」の展開は難しいので、人事部門はしっかりとトップが納得できるように説明するところからがスタートとなります。
個人が社外で育ち、その果実を組織に持ち帰るまでには時間がかかります。
人事部門や管理職は「果報は寝(ね)て待て」ではなく、経営トップと人事部門、人事部門と各部門、マネジャーと当事者(パラレルワーカー)間の対話と連携を通じて、じっくりと個人の学びを組織の成果へ昇華させる「果報は練(ねっ)て待て」の姿勢を持つことが、今まさに求められています。









