しかし、なぜブラックサンダーという強力な看板商品がありながら、あえて別ブランドを立ち上げる必要があったのだろうか。

「ブラックサンダーという大きなブランドがある一方で、ひとつのブランドへの依存度の高さが長年の課題でもありました。そのため、ブラックサンダーに次ぐ新しいブランドを育てたいという思いは以前から持っていました。また、『自分はブラックサンダーの対象ではない』と感じている方、特に女性のお客様にも響く商品を生み出したいという思いもありました。新しいブランドを通じて、より幅広い方々に有楽製菓の商品を届けたいと考えたんです」

 ところが、皮肉にもブラックサンダーの好調さが新ブランド開発のハードルを上げていたという。

「ブラックサンダーの人気ゆえに生産ラインが逼迫しており、新ブランドの開発に継続して取り組むことが難しい状況でした。そんななか、2024年に新工場の稼働をスタートさせ、ブラックサンダーを安定して供給しながら新しいブランドにも挑戦できる環境が整ったんです」

 ミルクマニアの背景には、経営を安定させ新たな顧客との接点を増やすという大きなミッションがあったのだ。

約50の案から試行錯誤!
「500円のチョコバー」という意見も

 では、ミルクマニアはどのようにして生み出されたのか。

「最初は、商品名と一言程度のコンセプトをセットにした案を50個ほど出しました。ミルクマニアでいえば、『ミルクマニア』という商品名と『とにかくミルクにこだわったチョコバー』という程度の簡単なものです。そこから商品企画と開発の担当者で絞り込み、実際に試作して食べ比べていきました」

 そのなかには、現在のミルクマニアとはまったく異なる方向性のものも。

「ブラックサンダーと同じようなチョコバーの形態で、とことんこだわることで全く新しい商品が生まれるのではと考え、1本500円の高級チョコバーという案もありました。ほかにも、フルーツをふんだんに使ったものや、お酒が入った商品なども検討しました。しかし、製造工程上の課題や、既存商品とは明確に違うと感じられる品質まで到達しなかったことなどから商品化を見送りました」