そうした試行錯誤を経て残ったのが、「ミルクのおいしさ」を徹底的に追求するという方向性だったのだ。

顧客をブラックサンダーと
取り合う懸念はなかったのか

 ミルクマニアには、ブラックサンダーで培われたノウハウが大いに取り入れられた。

「ブラックサンダーは、ココアクッキーとプレーンビスケットによるザクザクとした食感が大きな特長です。そのビスケットの組み合わせや食感の良さといったノウハウは、ミルクマニアにも生かされています。一方で、『ミルク感』については新たな挑戦となりました。素材にこだわった、専門店のような特別感のある商品を作るにはどうしたらいいだろうと、探求していきました」

 完成したミルクマニアは、ブラックサンダーとはかなり異なる商品となっている。だが販売するなかで、同じ有楽製菓の商品同士で顧客を奪い合う「カニバリゼーション」への懸念はなかったのだろうか。

「社内でも多少の懸念はありました。しかし、そもそも新ブランド開発の目的がブラックサンダーでは届かなかった層へのアプローチ。そのため、製品同士のライバル意識のようなものはなく、カニバリゼーションへの不安もそれほど大きくはなかったですね」

 そして発売後の購買データを見ると、実際に違いが表れているという。

「ブラックサンダーは40代男性の購入が多いのに対して、ミルクマニアは30代女性の購入が多く見られています。男女比でも、ブラックサンダーは男性が6割ほどですが、ミルクマニアは女性が6割ほど。購入層の重複を避けることができました」

 新ブランドをつくったことで、狙い通り、これまでとは異なる顧客層に商品が届いているようだ。

原材料の価格高騰に
工場の効率化で対応

 もうひとつ、ミルクマニアで興味深いのが価格設定だ。ブラックサンダーよりは高価格だが、それでも安価で購入しやすい「86円」という価格はどのように決定したのか。

「実は、最初の段階では価格を決めていませんでした。まず商品をつくって、そのできあがったものに対して『このくらいの価格なら受け入れてもらえるのではないか』と議論しながら調整していき、結果として86円になりました」