大切なのは「家を買うこと」ではない

 私が強く思うのは、自分で長期間にわたって資産形成を続けられる人には、住宅ローンという強制装置は必要ないということです。

 重要なのは「持ち家か賃貸か」ではありません。「自分の意思だけで30年、35年にわたって資産形成を続けられるのか」ということです。

 もし賃貸を選ぶのであれば、住宅ローンの代わりになる仕組みを自分で作ればいい。給料日に自動的に一定額を積立投資に回し、そのお金は最初から「なかったもの」と考える。昇給しても生活水準をすぐに上げず、積立額を増やす。住宅ローンがやってくれる「強制」を、自分で仕組み化すればいいわけです。

 相続という人生の総決算を数多く見てきて感じるのは、お金を残した人は、必ずしも投資が上手だったわけではないということです。

 むしろ、自分の意思とは関係なく「お金が残ってしまう仕組み」を長い間持っていた。

 住宅ローンでも、持株会でも、積み立て投資でもいい。30年、40年という長い人生の中では、自分の意思の強さより、資産形成を続けざるを得ない仕組みを持っていたかどうか。その差が最後には意外なほど大きくなる。

 私は数多くの相続という「人生の総決算」を見てきて、そのことを強く感じています。