高給取りなのに、なぜかお金が残っていない

 逆に相続の現場で面白いのは、医者や経営者など、一般的には高給と思われる方でも財産があまり残っていないケースが一定数あることです。

 もちろん収入は高い。しかし誘惑も多い。

 仕事が終われば(または仕事中に)百貨店の外商に始まり、証券会社、銀行、保険会社、不動産会社……いろいろな人が、それぞれ自社の商品を持ってセールスに来ます。

 収入が高ければ車も買えるし、旅行にも行けるし、いい店にも行ける。自然とお金を使うのが上手くなってしまいます。入ったものが全部出ていくことになり、強制的な積み立て機能がないのです。

 とくに経営者の場合、会社の中では一番偉い人です。周囲がイエスマンで固められてしまうと、自分を律することも難しくなります。

 一方で会社員の場合、上司もいれば部下もいる。給与も毎月決まった日に振り込まれ、住宅ローンが引かれ、持株会や財形などが先に引かれて、残ったお金で生活する。ある意味、会社員の方がガバナンスが効いている状況なので、自分を律することができたりするわけです。

「たくさん稼いだ人が、たくさん財産を残す」とは限りません。相続の現場にいると、むしろこの当たり前ではない光景をよく目にします。