その場合、賢い表現とは言えず、過剰な謙遜が不自然さを生むばかりです。

 では、どう言い換えたらよいでしょうか?

 ほとんどの場合、「いたします」で十分成り立ちます。「説明いたします」「ご連絡いたします」「お配りいたします」――これらは簡潔であり、むしろ誠実さと自信が伝わります。言い切ることへの恐れが、「させていただく」への逃避を生んでいるとしたら……それは言葉の問題だけではなく、自信の欠如かもしれません。

「本日、同席させていただきます」「確認させていただきました」――相手の許可を得て何かをする場合、自分が恩恵を受ける場面では、「させていただく」は適切で美しい表現となります。過剰な謙遜は、かえって不信感を生んでしまいます。便利な「させていただく」に逃げず、意味を踏まえて選択したいものです。

「休みをいただいております」
取引先に使うのは不適当な理由

「あいにく担当の者は、本日休みをいただいております」「〇〇は、お休みを頂戴いたしております」。電話口やメールで、つい口にしていませんか?

 これらは自身の「立ち位置」を勘違いしている致命的なミスとなり、あなたのプロフェッショナルとしての信頼は、そのひと言で失われてしまいます。

 これこそが丁寧な言い方をしているつもり、良かれと思い使っている“地雷ワード”の怖さです。なぜ「休みをいただく」や「休みを頂戴する」が、お客様や取引先に対して不適当なのでしょうか?「いただく」という謙譲語は、恩恵を受ける相手、つまり休みを許可した相手に向けられるべき言葉です。

 それを社外の方に対して使うのは、お客様の前で身内である会社を敬っていることになります。これは、ビジネスマナーの基本である敬語の区別がついていない証拠です。

「休ませていただく」相手は、本来誰でしょうか。そう、会社や組織です。もしくは、代表者や上司。つまり、休暇は社内の許可によって成り立つもの。それをそのまま外部に出してしまうのは非常に浅はかなことです。

 取引先へのメールに「明日はお休みをいただきますため、ご連絡は翌日以降にお願いいたします」。クライアントに「来週は夏季休暇をいただいております」。こうした表現は、相手には「プロの視点が欠けている」と映りかねません。